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投資信託にはどのような手数料・費用がかかる?費用が安い投資信託の例も解説
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投資信託にはどのような手数料・費用がかかる?費用が安い投資信託の例も解説

SUMMARY

投資信託を選ぶ際、多くの方が「手数料や費用はどのくらいかかるの?」という疑問を持つのではないでしょうか。実は投資信託にかかる手数料等の費用(以下、費用)には、いくつかの種類があります。本記事では、どのような費用があるのか、コストが安い投資信託・高い投資信託の背景などについて解説します。

投資信託にかかる主な費用

投資信託にかかる費用は、主に3つあります。まずは、それぞれの特徴と料率の目安について、整理してみましょう。
タイミング 費用の種類 概要 料率の目安(税込み)
(みずほ証券の場合)
購入時 購入時手数料 投資信託の購入時に販売会社に支払う手数料 最大3.30%
保有期間中 運用管理費用(信託報酬) 投資信託の運用・管理費用。日々基準価額に反映される 最大年率2.288%
解約時 信託財産留保額 投資信託を換金する際、基準価額から差し引かれる費用 最大0.5%

それでは、それぞれの費用について、具体的に解説します。

① 購入時手数料とは

購入時手数料(販売手数料)とは、投資信託を購入する際に販売会社である証券会社や銀行などに支払う手数料です。販売会社から投資信託に関する投資相談や説明、手続きなどのサービスの提供を受けるための費用です。

購入時手数料は、購入金額に対して一定の割合で設定されており、おおむね0%から3.3%の範囲で設定されています。また、購入時手数料は投資金額によって変わり、大きな金額(1億円以上など)を投資する場合は手数料率が下がることもあります。

また、「ノーロードファンド」と呼ばれる、購入時手数料がかからない投資信託も存在し、取り扱いが拡大しています。「ノーロード」とは「購入時手数料(ロード)がない(ノー)」という意味です。
ただし、購入時手数料がかからないからといって、すべてのコストがゼロになるわけではないため注意が必要です。

購入時手数料の計算例

実際に購入時手数料がどの程度になるか、具体例で見てみましょう。
1万口当たりの基準価額が1万円の投資信託を100万口購入する場合、購入時手数料が2%であれば、2万円の手数料がかかります。その結果、合計で102万円を販売会社に支払うことになります。

② 保有期間中にかかる費用~信託報酬(運用管理費用)とは

信託報酬(運用管理費用)は、投資信託を保有している間、継続的に発生する費用です。信託報酬とは、運用会社などによる投資信託の運用や管理にかかる費用で、信託財産(投資家から集めたお金)から間接的に差し引かれ、日々の基準価額(投資信託の値段)に反映されています。投資家が直接支払うわけではありませんが、実質的には投資家が負担していることになります。

信託報酬は年率で表示され、インデックスファンドとアクティブファンドで水準が異なります。

インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIXなどの指数(インデックス)に連動する運用をめざす投資信託です。指数に連動させるため、比較的運用の手間がかからないことから、信託報酬も年率0.05%から0.5%程度の範囲で設定されることが多いです。

一方、アクティブファンドとは、ファンドマネージャー(運用の専門家)が独自の調査・分析に基づいて投資信託を構成する銘柄を選択し、市場平均を上回る運用成果をめざす投資信託です。専門家による詳細な分析が必要なため、その分コストが高くなり、年率1.0%から2.0%、場合によっては2.6%程度まで設定される例もあります。

③ 解約時にかかる費用~信託財産留保額とは

信託財産留保額とは、投資信託を換金(解約)する際に、基準価額から一定の率で差し引かれる費用です。おおむね0%から0.5%の料率で設定されますが、一部では最大1.0%まで設定される投資信託もあります。また、信託財産留保額を設定していない投資信託もあります。信託財産留保額は、投資信託の解約時に、投資信託に組み入れられている株式や債券を売却する際に発生する売買コストです。このコストを解約する投資家に負担してもらうことで、解約せずに継続して保有する投資家との公平性を保つためのものです。
信託財産留保額は販売会社の費用ではなく、投資信託の運用財産中に留保される点が重要です。つまり、差し引かれた金額は基準価額に反映されます。

費用が安い投資信託の例

投資信託のコストを抑えたい投資家にとっては、以下のような投資信託は魅力的な選択肢となるでしょう。どのような投資信託があるか詳しく見ていきましょう。

①ノーロードファンド(購入時手数料がかからない投資信託)

前述したとおり、ノーロードファンドとは、購入時手数料がかからない投資信託です。一般的に、投資信託の販売には人件費やシステム費用がかかるため、その負担を補うために購入時手数料が設定されています。しかし、対面での説明や手続きが不要な場合、その分のコストを削減できるため、購入時手数料がかからないノーロードファンドが提供されています。

ノーロードファンドの最大のメリットは、手元にある投資のための資金をすべて運用に回すことができることです。例えば100万円分の投資信託を購入する場合、購入時手数料3%の投資信託では別途3万円の購入時手数料がかかるため、この分も考慮しておく必要がありますが、ノーロードファンドなら購入時手数料はかからないため、その必要はありません。長期的な積立投資を行う場合も、毎月の購入時に購入時手数料がかからないため、満額を運用に充てることができます。

ただし、ノーロードファンドでも信託報酬などの保有期間中のコストは発生します。したがって、購入時手数料がかからないといっても、トータルコストが必ずしも低いとは限らないため、信託報酬も含めて総合的に判断することが大切です。

②信託報酬の低いインデックスファンド

インデックスファンドは、特定の株価指数に連動する運用成果をめざす投資信託です。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500(アメリカの代表的な株価指数)などの指数と連動する成果をめざします。アクティブファンドのような個別銘柄の調査・分析が不要なため、運用コストを削減できます。その結果、信託報酬を低く抑えられます。特に近年は競争激化により、0.05%台という極めて低い信託報酬の商品も登場しています。

インデックスファンドの信託報酬の目安は次のとおりです。
国内株式インデックス:年率0.1%~0.6%
先進国株式インデックス:年率0.05%~0.8%
新興国株式インデックス:年率0.1%~0.9%

これらの数値はあくまで目安であり、実際の信託報酬は各投資信託の目論見書で確認する必要があります。

NISAの「つみたて投資枠」の対象ファンドは手数料等が低い

2024年から始まった新しいNISA制度の「つみたて投資枠」では、金融庁が定めた基準を満たした投資信託のみが対象です。この基準には、購入時手数料がかからない(ノーロード)であることが必須条件として含まれています。

さらに、信託報酬についても次の通り上限が設定されています。
国内インデックス投信:0.5%以下
海外インデックス投信:0.75%以下
国内アクティブ投信:1.0%以下
海外アクティブ投信:1.5%以下


これらの基準により、つみたて投資枠の対象ファンドは低コストな商品に限定されています。さらに、NISAでは運用益が非課税となるメリットもあるため、長期的な資産形成を検討している方は、つみたて投資枠対象ファンドを選択肢として検討してみましょう。

アクティブファンドの費用はなぜ高い?

費用が安い投資信託の例を紹介してきましたが、費用が高い投資信託=買うべきでない投資信託なのでしょうか。答えは、NOです。

アクティブファンドの費用が高いのには理由があります。アクティブファンドは市場平均を上回るリターンをめざして運用されるため、以下のような追加コストが発生します。

まず、調査・分析にかかる費用です。アクティブファンドでは、ファンドマネージャーやアナリスト(企業分析の専門家)が企業訪問を行い、決算内容を詳細に分析し、将来性を評価します。この調査活動には専門的なリサーチチームの人件費がかかり、外部の調査レポートや情報サービスの利用料も必要です。

次に、売買コストです。アクティブファンドは市場の変化に応じて銘柄を入れ替えるため、その都度売買手数料が発生します。また、大量の売買を行うことで市場価格に影響を与える「マーケットインパクト」も実質的なコストとなります(例えば、大量の買い注文を出すと、自身の注文により買値が高くなっていくことがあります。)。海外投資を行う場合で為替ヘッジ(為替変動リスクを回避するための投資手法)をつける場合は、為替ヘッジコストも発生します。

さらに、運用体制の充実にも費用がかかります。経験豊富なファンドマネージャーを確保するには相応の報酬が必要ですし、リスク管理システムの構築・維持やコンプライアンス体制(法令遵守体制)の整備にも継続的な投資が必要です。

これらのコストは、アクティブファンドが市場平均を上回る成果をめざすために必要なコストともいえます。重要なのは、費用等が高いからといって必ずしも悪い投資信託を意味するわけではないということです。費用に見合った運用成果が期待できるかどうかを、過去の運用実績やファンドマネージャーの経験、運用方針の明確さ、リスク管理体制などから総合的に判断することが大切です。

各投資信託の費用の確認方法

投資信託の費用を正確に把握することは、賢い投資判断の第一歩です。費用に関する情報は主に以下の資料で確認できます。

目論見書や販売用資料

目論見書(もくろみしょ)は投資信託の「説明書」にあたる重要な書類です。特に「交付目論見書」は、投資信託の購入前に必ず交付される書類で、手数料等に関する重要な情報が記載されています。

交付目論見書では、購入時手数料の上限が明記されており、実際の手数料率は販売会社によって異なる場合があることも説明されています。また、信託報酬は、運用会社・販売会社・受託会社(信託銀行)それぞれへの配分も含めて詳細に記載されています。さらに、信託財産留保額の有無と料率、その他の手数料等の概要も確認できます。

販売用資料は、運用会社や販売会社が目論見書をもとに作成する補足資料です。ファンドの特徴やコストがより視覚的・簡潔に分かりやすくまとめられています。

ウェブサイト

これらの資料や運用レポートなどは、各投資信託の運用会社や販売会社(証券会社等)のウェブサイト上で確認できることも多いので、一度確認してみるとよいでしょう。

確認時のポイント

費用を確認する際は、トータルコストを確認することが大切です。なぜなら、購入時手数料が無料でも信託報酬が高い場合があるからです。そのため、保有期間を考慮した総コストで判断する必要があります。また、信託報酬以外にも監査費用などの費用がかかることもあります。興味がある投資信託が複数ある場合は、投資信託間で費用を比較し、コストとパフォーマンスのバランスを確認してみましょう。

投資信託で利益が出た場合は、原則税金もかかる

投資信託の運用にあたっては、先述した主な手数料等に加えて、利益が出た場合には原則として税金がかかります。

投資信託から得られる利益には、原則として20.315%の税金がかかります。これは所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%(2037年まで)の合計です。課税対象となるのは、分配金(普通分配金)、売却益(譲渡益)もしくは償還差益(信託期間が終了した際の利益)です。

ただし、NISA口座で購入した投資信託は、これらの利益がすべて非課税(税金がゼロ)となります。年間投資枠には上限がありますが、長期的な資産形成を考える場合、税制優遇の効果は大きいといえます。例えば100万円の利益が出た場合、通常は203,150円の税金がかかり残りが手元に残りますが、NISA口座なら税金が徴収されることはなく、手元に100万円全額が残ります。

よくある質問(FAQ)

Q. 信託報酬が低い投信を選べば安心ですか?

A. 信託報酬が低いことは確かに投資家にとって有利ですが、それだけで投資判断をするのは適切ではありません。なぜなら、運用実績や投資対象、純資産総額(投資信託の規模)、運用方針なども重要な要素だからです。

例えば、信託報酬が低くても、投資対象が自分の投資目的に合わない場合や、純資産総額が小さくて運用が不安定な場合などは、適切な選択とはいえません。また、リスク水準が自分の許容範囲を超えている場合も避けるべきでしょう。したがって、コスト効率と運用の質のバランスを考慮して、総合的に判断することが大切です。

Q.ノーロードファンドはコスト0ですか?

A. 購入時手数料が無料でも、信託報酬は発生します。また、監査費用などのその他の費用が発生する場合もありますし、利益が出た場合は原則税金もかかります(NISA口座を除く)。

ノーロードファンドは確かに初期コストを抑えられますが、保有期間中のコストまで含めたトータルコストを含めると、コスト0ではありません。

みずほ証券からの
ひとこと

本記事では投資信託の費用について解説してきましたが、投資で重要なのは、パフォーマンスがコストを上回ることです。どんなに費用が安くても、パフォーマンスが悪ければ、その投資信託に価値があるとはいえません。反対に、費用が高めでも、期待以上のパフォーマンスが出れば、投資家の期待は十分に満たせるでしょう。実際に、費用が高めのアクティブファンドが成果を出している例も多くあります。
投資信託を選ぶ際は、コストだけでなく、運用実績や投資目的との適合性も含めて総合的に検討しましょう。


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