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投資信託の分配金利回りとトータルリターン
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投資信託の分配金利回りとトータルリターン

SUMMARY

投資信託の運用成果を測る際、「分配金利回り」と「トータルリターン」の二つがよく用いられます。本記事では、この二つの指標について、仕組みや見方を詳しく解説します。

投資信託の分配金利回りとトータルリターンとは?

投資信託のリターンを考える際、多くの人がまず思い浮かべるのが、受け取った分配金の利回りかもしれません。しかし、投資信託の成果は、分配金だけでは判断できません。なぜなら、分配金以外に、基準価額の変動による損益も考慮する必要があるためです。分配金や基準価額の変動など、投資信託から得られる総合的な損益を把握する指標として、トータルリターンがあります。
ここでは、投資信託の評価に欠かせない二つの指標、分配金利回りとトータルリターンについて見ていきましょう。

分配金利回りとは?

分配金利回りとは、投資信託の購入金額に対して、どのくらいの分配金が支払われたかを示す指標です。分配金利回りの計算方法には、①基準価額を用いる方法と②投資元本を用いる方法の二つがあります。

① 基準価額を用いる方法は、他の投資信託との比較がしやすい計算方法です。

分配金利回り(年間/%)=過去1年間の分配金累計額(税引き前)(円)÷直近の基準価額(円)×100

一方、②投資元本を用いる方法は、投資家が実際の投資効率を把握する際に用いられることが多いです。

分配金利回り(年間/%)=過去1年間の分配金累計(税引き前)(円)÷投資元本(1口当たり購入金額)(円)×100


なお、投資信託の分配金は、投資信託の運用で得られた収益(利子や配当、売買益など)から、信託報酬などの費用を差し引いたうえで、投資家へ支払われるお金です。(一部、元本を取り崩して支払われる特別分配金が含まれる場合があります。)投資信託には、分配金が支払われるものと支払われないものがあり、支払われる場合でも、運用状況によって変動し、その金額は一定とは限りません。

トータルリターンとは?

トータルリターンは、投資信託がどの程度効率よく運用されているかを示すもので、投資家が最終的に手にするリターンを測るための指標と言えます。具体的には、投資信託の現在の評価額、これまでに受け取った分配金の合計額(累計受取分配金額)、これまでに解約した売却金の合計額(累計売却金額)を合計した金額から、購入した金額の合計額(累計買付金額)を差し引いて算出します。

トータルリターン(円)=(現在の評価額+累計受取分配金額(税引き後)+累計解約金額)ー累計買付金額(購入時手数料および消費税含む)

トータルリターン(率)=トータルリターン(円)÷累計買付金額(購入時手数料および消費税含む)×100


投資信託の運用成果を正確に把握するためには、このトータルリターンで評価することが重要です。分配金を受け取っていても、基準価額が大きく下落していれば、トータルリターンはマイナスになることもあります。

「計算式が複雑だ」と思われた方もいるかもしれませんが、「トータルリターン通知制度」により、トータルリターンは年1回以上、その投資信託を保有する証券会社等から投資家に通知されます。また、証券会社等のマイページ等でも確認することができます。

みずほ証券の投資信託トータルリターン通知については、みずほ証券ウェブサイトをご覧ください。
みずほ証券の投資信託トータルリターン通知 | みずほ証券 

なぜ両方を理解することが大切なのか?

分配金利回りは、定期的な分配金(インカムゲイン)を重視する投資家にとって、そのファンドがどのくらいのペースで分配金を支払っているかを確認するうえで役立ちます。一方、トータルリターンは、投資信託の総合的なパフォーマンスを測る指標です。これら二つの指標を理解し、自身の投資目的に応じて活用することが、より良い投資判断につながります。

トータルリターンで投資成果を測ろう

投資信託の分配金は、投資信託の純資産から支払うため、分配金が支払われると純資産が減り、その分、基準価額が下落することになります。例えば、分配金支払前の基準価額が10,000円の投資信託から、100円の分配金が支払われると、基準価額は9,900円(10,000円-100円)になります。
そのため、分配金を受け取っていても、基準価額の増減も含めるトータルリターンが増えていない状況も起こり得ます。

ここでは、トータルリターンについて、事例を用いながら詳しく見ていきましょう。

トータルリターンの計算方法

投資信託の運用成果を評価する際には、分配金だけではなく、基準価額の変動分も含めた総合的なリターン、つまりトータルリターンを把握することが重要です。

トータルリターンの計算式は、先ほど紹介したように、次の通りです。

トータルリターン(円)=(現在の評価額+累計受取分配金額(税引き後)+累計解約金額)ー累計買付金額(購入時手数料および消費税含む)

トータルリターン(率)=トータルリターン(円)÷累計買付金額(購入時手数料および消費税含む)×100

二つのファンドで比較するケーススタディー

それでは、二つのファンドで、トータルリターンを具体的に計算してみましょう。ここでは、解約金額はゼロとします。

【ファンド1】 分配金利回りは高い一方、基準価額が下落したファンド

  • 累計買付金額:100万円
  • 累計受取分配金額(税引き後):10万円(分配金利回り約12.6%)
  • 現在の評価額:95万円

この場合、トータルリターンは次のように計算されます。
トータルリターン(円) = (95万円+10万円)ー100万円=5万円
トータルリターン(率) =5万円÷100万円×100=5%

【ファンド2】分配金利回りは低い一方、基準価額が上昇したファンド

  • 累計買付金額:100万円
  • 累計受取分配金額(税引き後):2万円(分配金利回り約2.5%)
  • 現在の評価額:110万円

この場合、トータルリターンは次のように計算されます。
トータルリターン(円) = (110万円+2万円)ー100万円=12万円
トータルリターン(率) =12万円÷100万円×100=12%


このケーススタディーから分かるように、分配金利回りだけ見るとファンド1のファンドの方が魅力的に見えますが、最終的な投資成果であるトータルリターンは、ファンド2のファンドの方が高くなっています。

投資信託のトータルリターンに関するよくある質問

投資信託のトータルリターンに関するよくある質問と、回答をまとめました。
 

Q.トータルリターンはどのくらいの期間で判断すべき?

A.トータルリターンは、長期的な視点で判断することが大切です。数ヵ月から1年といった短い期間の変動に一喜一憂するのではなく、3年、5年といった長期的な推移を見て、投資信託の運用状況を評価しましょう。

Q.トータルリターンがマイナスでも投資は続けるべき?

A.トータルリターンがマイナスになることは起こり得ます。重要なのは、その原因を理解し、対策を立てることです。運用している投資信託の投資方針や、市場全体の状況などを確認しましょう。

例えば、市場全体の下落によるものであれば、景気回復とともにトータルリターンがプラスに転じる可能性があります。この場合は、乗り換えをせず、投資を継続するという選択肢もあります。特定の業種に投資を集中している投資信託で、その業種のトレンドが衰退したなど、ファンド自体の問題であれば、他のファンドへの乗り換えを検討することも選択肢の一つです。

Q.分配金ありと分配金なし、どちらがトータルリターンが高い?

A.一般的に、分配金なしの投資信託の方が、トータルリターンが高くなる傾向があります。これは、分配金を支払わずに再投資に回すことで、複利効果が働くためです。ただし、どちらを選ぶかは個人のライフスタイルや投資目的によります。定期的な収入を得たい場合は分配金ありを選択し、長期的な資産形成を目的とする場合は分配金なし(再投資型)を選択するなど、自分の投資目的を踏まえて総合的に判断しましょう。

みずほ証券からの
ひとこと

投資信託の成果を測るうえで、「分配金利回り」と「トータルリターン」は、どちらも重要な指標です。分配金利回りは、安定した分配金収入を求める場合に役立ちます。一方で、トータルリターンは、投資信託の総合的な運用成果を測るうえで重要な指標となります。

この二つの指標が示す内容を正しく理解し、自身の投資目的やライフスタイルに合わせて活用することで、より適切な投資判断が可能になるでしょう。


金融商品取引法に係る重要事項

投資信託にかかるリスクと費用の詳細は以下よりご確認ください。
投資信託 | みずほ証券

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