投資信託は、運用方針によって「インデックスファンド」と「アクティブファンド」に分けられます。
インデックスファンドは、日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)、S&P500種指数などの指数(インデックス)を基準(ベンチマーク)とし、指数に
連動する運用成果をめざす、シンプルな仕組みの投資信託です。インデックスファンドの運用方法は「パッシブ運用」とも呼ばれます。指数を構成する銘柄を、指数と同じ比率で組み入れることで、指数全体の動きに連動することをめざします。
一方、アクティブファンドは、市場平均を
上回る運用成果をめざします。アクティブファンドの運用方法は「アクティブ運用」とも呼ばれます。各ファンドの運用会社のファンドマネージャーが独自の調査・分析に基づいて銘柄を選定し、独自のポートフォリオ(銘柄の組み合わせや比率のこと)で、ベンチマークとする指数や市場平均を上回るリターンを追求する点が特徴です。
アクティブファンドと比較した、インデックスファンドの主な特徴
- 初心者にもわかりやすい仕組み
インデックスファンドは「市場全体の動きに乗る」というシンプルな運用方針の投資信託であるため、これから投資を始めようとしている方にも理解しやすい商品といえるでしょう。
- 低コストで長期運用に向いている
インデックスファンドは運用方針がシンプルなため、運用会社が独自に市場分析や個別銘柄の選定、配分決定などを行う「アクティブファンド」に比べてコストが低く抑えられています。購入時手数料が無料の「ノーロード」と呼ばれる投資信託の多くは、インデックスファンドです。また、運用管理費用である信託報酬も、日本株式に投資するアクティブファンドでは年率1%前後になることがある一方、日経平均株価に連動するインデックスファンドでは年率0.05%~0.5%程度になっています※。
- ベンチマーク以上のリターンは狙いにくい
インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500種指数などの指数に連動することをめざして運用されています。そのため、基本的に市場全体の動きに沿った成果しか得られず、それ以上のリターンを狙うことは難しいという特徴があります。例えば、特定の株式(銘柄)が大きく上昇した場合、その株式に集中投資していたり、その株式(銘柄)への投資比率が高いアクティブファンドを購入したりしていれば、大きな利益を得られる可能性がありますが、インデックスファンドでは市場全体に分散して投資しているため、その恩恵を大きく受けることはできません。リスクをとって、より高いリターンを追い求めたい方は、個別株式やアクティブファンドへの投資を検討してもよいでしょう。
インデックスファンドと比較した、アクティブファンドの主な特徴
- 市場平均を上回るリターンを狙える
アクティブファンドは、ファンドマネージャーの専門的な判断や戦略によって独自のポートフォリオを組むため、市場平均を上回るリターンが得られる可能性があります。優秀なファンドの中には5年から10年以上にわたって市場を上回る成績を残し続けているファンドも存在します。
- 多様なラインアップがある
アクティブファンドは、運用戦略・手法などで差別化を図ります。ESG投資やAI関連といった特定のテーマに特化して銘柄を選定するファンドや、バリュー投資やグロース投資といった投資哲学に基づき銘柄を選定するファンドなど、アクティブファンドには多様なラインアップがあります。指数非構成銘柄やニッチな市場に投資できるファンドもあるため、自分の関心に合わせて選べる魅力があるといえるでしょう。
- 信託報酬は高めの傾向
アクティブファンドには、専門的な調査・分析や頻繁なポートフォリオの見直しにかかる運用コストが反映されるため、信託報酬は年率1%前後から数%に達するものもあります。なお、運用にコストをかけたからといって成果が保証されるものではありません。
- パフォーマンスが市場平均を下回ることもある
組入銘柄や相場の動向等によって、ファンドのパフォーマンスが市場平均を下回ることもある点には注意が必要です。
インデックスファンドとアクティブファンドの比較表
ファンド選びで重要なのは、「どちらが優れている」という考え方ではなく、リスク・コストの程度やご自身の投資目的に応じて選択することです。また、二者択一ではなく、両方保有するケースもあります。
インデックスファンドへの投資を検討したいケース
投資初心者で少額から始めたい場合
インデックスファンドは、低コストで運用でき、かつ、仕組みや値動きも分かりやすいことから、これから投資を始める方には検討しやすい商品でしょう。
低コスト重視で長期・積立投資をしたい場合
長期にわたって積立投資を続ける場合、信託報酬の差が最終的な運用成果にも影響します。また、NISAのつみたて投資枠の対象ファンドは、金融庁が定めた基準を満たす、低コストで長期積立に適した投資信託となっていますが、この多くがインデックスファンドです。
運用戦略の調査や理解に時間をかけられない場合
アクティブファンドと異なり、インデックスファンドの運用戦略は、「ベンチマークとする指数に連動した成果をめざす」ことなので、商品性を理解しやすいです。忙しい方でも、投資判断を下しやすい商品でしょう。
アクティブファンドへの投資を検討したいケース
市場平均以上のリターンを狙いたい場合
市場平均以上のリターンを狙いたい場合には、アクティブファンドへの投資が適しているでしょう。ただし、高リターンを狙うということは相応のリスクも伴うことを認識しておく必要があります。
特定のテーマや運用手法に関心がある場合
特定の地域や特定の投資テーマ、独自の運用手法などに関心が高い場合は、ファンドごとに運用戦略が異なるアクティブファンドへの投資の検討が有力でしょう。
両方を保有することもよくあるケース
インデックスファンドとアクティブファンドは、二者択一ではありません。実際、多くの投資家が両方を組み合わせて保有しています。
コア・サテライト戦略による分散投資
コア・サテライト戦略は、資産全体を「コア(中核/Core)」と「サテライト(衛星/Satellite)」の二つに分けて運用する戦略です。コア資産(長期・安定的に資産を増やすための“土台”となる資産)を、市場全体に連動する安定資産(インデックスファンドなど)、サテライト資産(より高いリターンやテーマ性を狙って追加する“攻め”の資産)を、高成長・高リスク資産(アクティブファンド・個別株など)に分散投資することで、 「安定性」と「成長性」をバランスよく両立するのが目的です。例えば、投資資金の70%をインデックスファンド、30%をアクティブファンドで運用するといったことなどが考えられます。
ファンドを選ぶときのポイント
インデックスファンドを選ぶ際のポイント
投資したい指数が決まったら、同じ指数に連動するファンドの中でコストを比較してみましょう。長期運用では、少しのコストの差が最終的なリターンに影響します。また、トラッキングエラー(指数との乖離)が小さいか、純資産総額が十分か(数十億円以上が目安)なども確認しましょう。
アクティブファンドを選ぶ際のポイント
単に直近の運用成績が良いかどうかだけでなく、5年から10年といった長期にわたった実績を確認しましょう。また、ファンドマネージャーの投資哲学や運用方針が明確で、それが一貫しているかも重要です。優れたアクティブファンドは、運用者がぶれない軸を持ち、その哲学に基づいた一貫した戦略を長年貫いているものです。
Q. 初心者はインデックスファンドから始めるべきですか?
A. インデックスファンドは相対的にコストが低く、運用方針がシンプルで分かりやすいため、投資初心者の方にも始めやすい特徴があります。ただし、目論見書や担当者からの説明等で運用戦略が十分に理解できた場合は、アクティブファンドも選択肢の一つです。
Q. インデックスファンドとアクティブファンドを両方保有しても問題ありませんか?
A. 問題ありません。インデックスファンドで安定的に資産を増やしつつ、アクティブファンドで市場平均を上回るリターンを狙うといった投資戦略は、一般的です。
Q. インデックスファンドのベンチマークはどのように選べばよいですか?
A. 「どの地域や資産クラスに投資したいか」を考えましょう。「日本×株式」なら日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)、「米国×株式」ならS&P500種指数やNASDAQ100、「全世界×株式」ならMSCI ACWIに連動するファンドなどがあります。
Q. インデックスファンドの中で、ファンドを選ぶ際のポイントは何ですか?
A. 同じ指数に連動するファンド間での信託報酬の差や、トラッキングエラー(指数との乖離)の差、純資産総額の差などが選ぶポイントになるでしょう。