ESG・SDGsとは
ESGとは
ESGとは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったもので、企業が持続可能な成長を達成するために重要とされる3つの視点を指します。
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals, 持続可能な開発目標)は、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において記載された、17の目標と169のターゲットから構成される国際目標です。これらの目標には、貧困をなくすこと、教育の質を良くすること、気候変動に対応することなどが含まれています。各ターゲットは、どのようにしてこれらの目標を達成するかを詳しく示しています。SDGsは、政府や企業、一般市民が協力して、より良い未来を築くための指針となるものです。
循環型経済(サーキュラーエコノミー)とは
循環型経済(サーキュラーエコノミー)とは、資源の効率的な利用と廃棄物の削減をめざす経済モデルです。従来の「使い捨て」型の経済から脱却し、製品のライフサイクル全体を通じて資源を最大限に活用することを重視します。このモデルでは、製品の設計段階からリサイクルや再利用を考慮し、廃棄物を最小限に抑えることが求められます。具体的には、リサイクル可能な素材の使用、製品の修理や再製造、廃棄物の再利用などが含まれます。循環型経済は、環境負荷を軽減し、持続可能な成長を実現するための重要なアプローチとして注目されています。企業がこのモデルを採用することで、資源の効率的な利用が可能となり、環境保護と経済的利益の両立を図ることができます。
循環型経済はESGのうち、特に環境(Environment)に深く関連しています。循環型経済に取り組む企業は、資源効率を高め、環境負荷を減らし、持続可能な成長をめざすことで、ESG観点での企業評価が上がる可能性が高まります。
ESGに関する企業の取組事例
ESG投資を行う際には、投資先企業のESGに関する具体的な取り組みを知ることが重要です。
国内企業では、トヨタ自動車の取り組みが挙げられます。トヨタ自動車は、事業活動全体を通じて環境負荷を低減し、社会・地球の持続可能な発展の貢献することをめざしています。ハイブリッド車や電気自動車などの開発、工場への風力発電機や太陽光パネルの設置などを通じて、脱炭素社会への貢献を続けています。
外国企業では、Microsoft(マイクロソフト)やPatagonia(パタゴニア)、Tesla(テスラ)などの取り組みが挙げられます。Microsoftはカーボンネガティブをめざし、2030年までに全社的なカーボン排出量をゼロにする計画を立てています。また、Patagoniaは環境保護活動に積極的で、製品のリサイクルや再利用を推進しています。Teslaは電気自動車の普及を通じて、環境負荷の低減に大きく貢献しています。これらの企業は、ESG経営に積極的に取り組むことで、ブランド価値の向上や顧客からの信頼を獲得しようとしています。
ニュースや決算資料等で、身近な企業がどのような取り組みを行っているか、チェックしてみましょう。
ESG投資とは
ESG投資とは、「ESG評価の高い企業は、事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つ」という考え方から、環境・社会・企業統治に配慮している企業や国・自治体等を重視・選別して行う投資のことをいいます。投資家によるESG投資により、企業等はSDGsに資する事業への投資を増やすことができるため、ESG投資は社会課題の解決を後押しすることにつながります。
なぜESG投資が話題なのか
ESG投資が広まった背景には、国際的な動きや規制の強化が大きく関わっています。2006年に国連が「責任投資原則(PRI)」を提唱し、これにより世界中の機関投資家がESGの観点からの投資を促されました。特に、年金基金などの大手機関投資家がこの原則を採用することで、ESG投資は倫理的な選択肢の一部から、主流の投資手法へと変わりました。投資家や金融機関の投資判断が変化したことも、企業側がESG要素を無視できなくなっている要因の一つです。
これを背景に、近年はサステナブルファイナンス市場
※も活況となっています。
- 環境・社会・ガバナンス(ESG)の要素を考慮した金融活動(融資や投資など)の総称
また、投資家からも、ESG投資は、単純に利益をねらうだけでなく、社会全体の持続可能な発展に寄与できる投資方法として注目されています。
ESG投資の進め方
ESG投資を行ううえで、投資先企業の選定は非常に重要です。企業のサステナビリティレポートや第三者機関の評価を参考に、環境保護活動や社会的責任への取り組みを評価するとよいでしょう。また、企業のガバナンス体制も大切な要素です。透明性のある経営体制や、独立した取締役会の存在が重要な指標となります。企業の財務状況も無視できません。持続可能な成長をめざす企業であっても、財務的に健全でなければ投資リスクが高まります。これらの要素を総合的に評価し持続可能な投資先を選定することで、リスクを低減したリターンが期待できるでしょう。
ESG投資の投資対象
株主
ESGを重視する企業の株式に投資することで、持続可能なビジネスモデルを支援しながらリターンを得ることが可能となります。投資先企業の選定において、ESG関連指数への組入銘柄から選定するのも一つの手でしょう。
ESG関連指数は、総合型指数とテーマ指数の2つのタイプに分けられます。総合型指数は、幅広いESG基準を考慮し、テーマ指数は、特定のESGテーマに焦点を当てています。
具体的な指数として、以下に掲げるものなどがあります。
債券
ESG債は、環境改善や社会的課題の解決を目的とした事業の資金を調達するために発行される債券です。
▼ESG債(SDGs債)の種類
投資信託・ETF
投資信託やETFには、ESG投資に積極的な企業に集中して投資するものがあります。これらは、専門家がESGへに対する取り組みを評価して選定した企業にのみ投資するため、株式や債券を自身で選定する際の個別企業をの調査は必要はありません。