どのくらいかかるの?就職活動と一人暮らし
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どのくらいかかるの?就職活動と一人暮らし

SUMMARY

就職活動は、自分らしく実りある人生を送るための重要なライフイベントの一つですが、活動にあたっては一定の費用がかかります。また、就職後は経済的に自立した大人となり、中には「はじめての一人暮らし」を始める人もいると思います。どのくらいのお金が必要か不安を覚える方もいるでしょう。この記事では、就職活動や一人暮らしでかかる費用について紹介します。

就職活動でかかる費用

就職活動費用の総額

(表1)就職活動費用の推移(総額)
卒業年月 就職活動費用の総額 前年との差
2020年3月

136,867円

986円
2021年3月 97,535円 -39,332円
2022年3月 61,212円 -36,323円
2023年3月 70,007円 8,795円
2024年3月 84,241円 14,234円
出所:株式会社キャリタス「キャリタス就活2024 学生モニター調査(2023年10月)」 

株式会社キャリタスの「キャリタス就活2024 学生モニター調査(2023年10月)」によると、2024年3月卒業者の就職活動費用(以下、就活費)の平均は84,241円、前年よりも14,234円増加しています(表1参照)。

2020年度以降は、コロナ禍で採用活動のオンライン化が進み、費用は減少傾向でした。しかし、2024年度は説明会や初期の選考はオンライン中心である一方、最終面接を対面で行う企業が増えてきたため、前年度よりも費用が上昇したとも考えられます。

次に、大学地域別の就活費です。
 

大学地域別の就職活動費用

(表2) 就職活動費用の推移(大学地域別)(単位:円)
北海道 東北 関東 中部 関西 中国・四国 九州・沖縄
合計 109,154 62,888 70,815 88,170 99,713 111,133 91,085
リクルート
スーツ代
26,464 24,763 29,438 27,865 35,828 26,063 27,158
交通費 31,133 26,036 18,137 31,276 36,704 45,185 33,520
宿泊費 8,929 4,536 1,584 5,995 8,021 14,337 9,906
備品代 14,476 4,661 8,786 6,844 10,638 7,562 7,571
有料講座
受講費
22,619 0 6,269 9,756 3,101 11,685 7,000
その他諸経費 5,533 2,893 6,601 6,434 5,420 6,301 5,930
出所:株式会社キャリタス「キャリタス就活2024 学生モニター調査(2023年10月)」

合計額が最も高いのが「中国・四国」の111,133円、次いで「北海道」の109,154円、最も低いのが「東北」の62,888円です。オンライン化が進んだことでコロナ禍以前ほど差はなくなったものの、交通費や宿泊費のかかる地域で費用が高くなる傾向にあります。

就活費の平均は8.4万円ですが、キャリタス就活に寄せられた意見の中には「オンライン面接に備えてスペックのいいパソコンを新規購入した」「有料講座を受講した」など、就活費に20万円以上かけたという声もありました。

そのほか、急な出費に備えて、少なくとも10万円程度の費用は見積もっておく必要があるでしょう。

なお、就活費の原資については、最も多かったのが「親に出してもらった」が51.5%、次いで「全額自分で工面した」の42.5%、「親に借りた(返済する)」の6.0%の順になっており、親の平均負担額は62,097円です(キャリタス就活調べ)。

学生にとって就活費の負担は小さくありませんが、お金がないために自身の希望する企業の選考を受けることができなかった場合、大きな後悔が残ってしまいます。日頃から節約したり、アルバイトで資金を貯めるのが理想ですが、経済的に自立していない学生のうちは「親に相談して協力してもらう」というのも立派な手段です。

費用に限ったことではありませんが、就職活動をする中で困ったことや悩み事があるときは、社会人経験の豊富な親や先輩、学校の就職課などに相談し、できるだけ「不安を取り除く」ことが大切だと思います。

一人暮らしでかかる費用

入居の際にかかる費用

一人暮らしのはじめの一歩は「住まい」を確保することです。入居の際にかかる初期費用は「家賃のおよそ4ヵ月~5ヵ月分」と言われています。

(表3) 物件の契約時に支払う初期費用
家賃・共益費       入居月と翌月分の家賃・共益費を契約時に支払うのが一般的。
契約日が月の途中の場合、日割りの家賃・共益費を支払う
敷金 家賃の1ヵ月分が目安。契約期間の家賃債務の担保(滞納時)として預けておくお金。
退去時に壁紙を張り替えるなど原状回復の費用を差し引かれ、残りは返金される
礼金 家賃の1ヵ月分が目安。大家さんへのお礼として支払う費用。
人気エリアの新築物件などの場合、家賃2ヵ月分で設定されていることも
仲介手数料 家賃1ヵ月分が目安。不動産会社を介して借りた場合、紹介料として支払う
火災保険料 2年間で2万円くらいが目安。入居中に火災に遭った場合の保険
鍵の交換費用 1万5000円~2万5000円が目安。鍵の防犯性の高さによってアップダウンする
保証会社利用料 家賃・共益費を合わせた総額の50%、または100%のいずれかが一般的。
入居者が家賃を払えなくなった場合などのため、保証会社の利用が条件となる物件が増えている
出所:SUUMO編集部

初期費用は、それぞれ物件ごとに違うので、あらかじめ確認が必要です。

上記の物件契約時にかかる初期費用のほか、引っ越し費用や新生活で利用する家電や家具の購入費等がかかります。住む地域や家賃水準、引っ越しの距離、家電や家具のこだわりなどでも差が出ます。初期費用を含めた総額としては、おおよそ50万円程度のお金がかかります。

また、一人暮らしでは月々の生活費も考えなくてはいけません。入社したばかりの新入社員は十分な収入を得ることが難しいので、収支のバランス面からも上記の費用はできるだけ抑えたいところです。

近年では賃貸契約の際の敷金や礼金が不要な物件、1ヵ月~2ヵ月分の家賃が無料になるフリーレントの物件(早期退去の場合などは無料になった分を後に支払うなどの条件あり)もあるので、そのような物件で賃貸契約の初期費用を抑えることも選択肢の一つです。学生時代に利用していた家具や家電製品等を持ち込むことで、費用を抑えることもできるでしょう。

次に、平均的な1ヵ月間の生活費と給与水準をみていきます。

1ヵ月間の生活費と給与水準

(表4) 単身世帯(勤労者)の1ヵ月間の支出
単身世帯
(男性、34歳以下)
単身世帯
(女性、34歳以下)
支出合計 168,797円 172,242円
食料            42,747円 33,157円
住居 36,289円 37,845円
光熱・水道 9,161円 11,410円
家具・家事用品 4,998円 3,786円
被服及び履物 5,735円 7,670円
保険医療 4,113円 6,240円
交通・通信 20,838円 22,160円
教養娯楽 25,907円 17,527円
その他の消費支出

19,004円

32,437円

  • 表中の項目別支出は主なものを抜粋して掲載しているため、項目別支出の合計額と支出合計は一致しない
出所:総務省統計局 家計調査年報 2022年(令和4年) 

表4は、総務省の家計調査年報で公表されている単身世帯(34歳以下の勤労者)の1ヵ月間の支出です。男性で168,797円、女性で172,242円が1ヵ月の平均的な生活費と言えます。

また、厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査「新規学卒者の所定内給与額」によると、大卒男性の所定内給与額(支給される現金給与額のうち、時間外勤務手当等の超過労働給与額を差し引いた額)の平均は229,700円、大卒女性の所定内給与額の平均は227,200円です。

この数値は支給額で、支給額から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税や住民税などが引かれた金額が「手取り給与」です。手取り給与は「支給額の80%」で簡易計算できます。この計算に当てはめると、大卒男性の手取り給与が183,760円、同じく大卒女性は181,760円です。

平均的な収入と支出であれば赤字にはならないものの、給与水準が上がるまでは節約することも必要でしょう。

みずほ証券からの
ひとこと

社会人生活や一人暮らしに慣れてきたら、貯蓄や投資などで資産形成に取り組むことも重要です。結婚・出産・育児・マイホーム取得・老後資金など、人は年齢を重ねるにつれてお金との関わりが深くなっていきます。少ない金額であっても若いうちからコツコツと長期を見据えた資産形成をしていくことが豊かな将来へとつながるでしょう。


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