• TOP
  • 深める
  • 基礎からわかる!テクニカル分析入門⑬ 価格帯別出来高で投資家の心理を読もう
基礎からわかる!テクニカル分析入門⑬ 価格帯別出来高で投資家の心理を読もう
深める

基礎からわかる!テクニカル分析入門⑬ 価格帯別出来高で投資家の心理を読もう

SUMMARY

前回説明した出来高は、“いつ・どれくらい”の株式が取引されたかを可視化したものであるのに対し、その銘柄が”いくらで・どれくらい”取引されたかを可視化したものが「価格帯別出来高」です。
今回は、価格帯別出来高について説明します。

価格帯別出来高とは?

価格帯別出来高について、簡単なイメージ図を見ながら説明します。


出来高のチャートは、株価(ローソク足)の下に縦棒グラフで表示されるのが一般的であるのに対し、価格帯別出来高は「株価の横に並べて横棒グラフで表示」されます。

横棒グラフの長さは「その価格帯で売買された出来高」で、長いほどその価格帯での出来高が多く(ボリュームゾーン)、短いほどその価格帯での出来高が少ないことを示します。言い方を変えると、棒グラフが長いほどその価格帯で売買した人が多く、棒グラフが短いほどその価格帯で売買した人が少ない、とも言えます。

上の図で言えば、500円で取引した人が最も多く、540円で売買した人が最も少ないことがわかります。

みんなが思っている「適正価格」が見える?

株式の売買は、ある価格で「売りたい人」と「買いたい人」がマッチングしたときに取引が成立します。

売りたい人や買いたい人がたくさんいるということは、つまり、その価格周辺を「適正価格」だと考えている人が多いと想定することもできます。このことを踏まえて、投資家の心理を想像することが、価格帯別出来高から需給を読みとる第一歩です。

ポイントは「ボリュームゾーンより株価が下にあるか、上にあるか」

価格帯別出来高でポイントになるのは、横棒グラフの長いボリュームゾーンより株価が下にあるか、上にあるかです。

現在の株価がボリュームゾーンより下にあるとき


それでは、ボリュームゾーンが500円、現在の株価が480円になったときの投資家の心理を考えてみましょう。


500円で買った人がたくさんいるということは、480円になった場合は含み損を抱えた人がたくさんいることになります(出来高の山の大きさ=人数ではなく、一人でたくさん株数を買った人や、500円で買ったものの他の価格帯で売ってしまった人も含まれますので、あくまで目安と考えてください)。

500円で買った人はその株を売らなければ損失は確定しませんが、含み損を抱えた状態というのは心理的に嫌なものです。このような投資家心理を考えると、株価が上昇して再び500円になったときに「ようやく戻った」「含み損がなくなったところで早く売ってスッキリしたい」と考える人がたくさんいると推測できます。

このような状況であれば、株価が500円に上昇したときに売りが多くなって、上昇基調にブレーキがかかってしまうことが想定されます。このため、ボリュームゾーンより株価が下にあるときは、ボリュームゾーンが上値抵抗線になる傾向があります。

現在の株価がボリュームゾーンより上にあるとき


次に、ボリュームゾーンが500円、現在の株価が520円になったときの投資家の心理を考えてみましょう。


株価が520円のときは、ボリュームゾーンの500円で買った人たちをはじめ、含み益の人が多い状態と考えられます。

多少株価が下がっても慌てて投げ売るような人は少なく、たとえ500円まで下がったとしても、過去に多くの取引が成立した実績があることから「押し目でまた買おう」と思う人も出てくると推測できます。

このため、ボリュームゾーンより株価が上にあるときは、ボリュームゾーンが下値支持線になる傾向があります。

価格帯別出来高で値動きを予想してみよう

実際のチャートで今後の値動きを考えてみましょう。

各種資料よりみずほ証券にて作成

ボリュームゾーンとなっている2,700円~2,800円に株価が近づくと、見えない壁があるようにいったん値動きが止まりやすくなることがわかります。一方でボリュームが小さい価格帯では、値動きが軽くなる傾向があります。

価格帯別出来高を表示させると、移動平均線や出来高だけでは見えてこなかった「いくらまで買われそうか」「いくらまで売られそうか」といった上値や下値のめどを予想することができます。

ただし、価格帯別出来高が常に上値抵抗線や下値支持線になるとは限りませんので、他のテクニカル指標も組み合わせて複合的な視点から分析することが大切です。

みずほ証券からの
ひとこと

みずほ証券のオンライントレードサービス「みずほ証券ネット倶楽部」の詳細リアルチャートでは、価格帯別出来高を利用することができます。ぜひご利用ください。

中村 克彦

中村 克彦みずほ証券マーケットストラテジスト

日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)副理事長
国際テクニカルアナリスト連盟(MFTA)検定テクニカルアナリスト


合わせて読む


あなたに寄り添い、一緒に前へ

投資の世界をもっと知りたい、深掘りしたい。
進み続ける、あなたとともに。