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基礎からわかる!テクニカル分析入門⑫ 知っておきたい!出来高と株価の関係
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基礎からわかる!テクニカル分析入門⑫ 知っておきたい!出来高と株価の関係

SUMMARY

多くの株価チャートでは、「株価(ローソク足)」と「出来高」が並んで表示されています。出来高は、移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標と比べて地味な存在ですが、「出来高は株価に先行する」という言葉があるように、重要なテクニカル指標の一つです。
今回は、出来高と株価の関係について説明します。

出来高は人気のバロメーター

市場で売買された株数の合計を「出来高(できだか)」と言います。

ある銘柄の人気が高まって買いが殺到したり、反対に悪材料が出てパニック売りが起こったり・・・、良くも悪くも注目が集まることで出来高は多くなります。


トレードツールの画面では、株価チャートの下に棒グラフで出来高が表示されています。山が大きいのか小さいのか「なんとなく見ているだけ」という方も多いのではないでしょうか?

しかし、出来高には投資家の心理やさまざまなヒントが隠されていると言われています。

出来高は株価に先行する?

一般的に、「出来高は株価に先行する」と言われています。

相場局面によっては、株価の変動よりも、むしろ「出来高の増減」に注視すべきタイミングがあります。テクニカル分析の精度を高めるうえで、株価分析だけではアプローチできない「需給面」での変調や強弱感などを出来高分析でカバーすることが大切です。

このため、株価だけに焦点を当てたアプローチよりも、株価に出来高を組み合わせたアプローチの方が、テクニカル分析の精度を高めるうえでは重要と言えるでしょう。

出来高と株価の関係

では、出来高と株価の関係をチェックしていきましょう。

「出来高は株価に先行する」と言われますが、これは長期スパンでの大底圏や天井圏の局面に表れる傾向であり、常に当てはまるというわけではありません。

出来高と株価の関係として、主に次の3パターンが挙げられます。

出来高が株価に先行するケース
出来高と株価が同時進行するケース
出来高が株価に遅行するケース

出来高が株価に先行するケース


底値圏や天井圏でトレンドが転換するとき、出来高が株価に先行するケースがよく見られます。
  • 底値圏で株価は下がっているのに出来高が増加してトレンド転換
株価が長期間にわたり下落したあと、上昇に転じる直前に出来高が増加する傾向があります。特に底値圏では、株価と出来高を組み合わせた指標が、株価が底を打つよりも出来高が早くボトムアウトすることがあります。
  • 天井圏で株価が上がっているのに出来高が減少してトレンド転換
基本的に株価と出来高の関係はトレンドに沿って動くと言われます。つまり、上昇トレンドのときは「株価が上昇すれば、出来高も増加する」ということになります。しかし、上昇トレンドの高値圏で株価が直近高値を更新したにもかかわらず、出来高が直近高値の水準を超えられずに減少した場合、その後に反落するケースがよくあります。

出来高と株価が同時進行するケース


もみ合いが続いたあとに株価が上か下に放れてトレンドが発生する際、出来高と株価が同時進行するケースがよく見られます。

高値と安値が収れんしていくもみ合いでは、出来高は徐々に減少していきます。しかし、いったん株価が上値抵抗線や下値支持線をブレイクしてトレンドが発生すると、発生したトレンドの方向に株価は動き、同時に出来高が増加していくことがあります。その際に出来高が伴えば、そのもみ合い放れのトレンドの信頼性は高いと考えられます。

出来高が株価に遅行するケース


株価が上昇したために出来高が増加することもあります。このケースは、株価の上昇を見た投資家が後追いで買い進めるときに見られます。

逆に、株価が下落したために出来高が減少することもあります。株価の下落に伴い、含み損を抱えた投資家が売買を控え、出来高が減少していくケースです。ただし、一段の下落が進むと投げ売りが加速し、底入れ間近に出来高が増加し始めることがあります。

出来高移動平均線

日々の出来高の増減を見ることは大切ですが、より重要なのは出来高のトレンドを見極めることです。出来高が増加トレンドにあるのか、減少トレンドにあるのかを知るための指標として用いられるのが「出来高移動平均線」です。


出来高移動平均線の期間(パラメータ)は、日足は「25日と75日」、週足は「5週と13週」を使うのが一般的です。また、テクニカル指標と同じく、パラメータが短期になるほど反応(感応度)が早いもののダマシが出やすく、長期になるほど反応が鈍いもののダマシが出にくくなります。

出来高移動平均線が上向きだと出来高が増加トレンド、下向きだと減少トレンドと判断します。また、移動平均線と同じく、パラメータの異なる複数の線(短期線と中期線など)を使い、ゴールデンクロスやデッドクロスでトレンドを判断することができます。

出来高移動平均線を使ってみよう!

実際の例で出来高移動平均線を使ってみましょう。


今回は、日足ベースで25日線(金色)と75日線(青色)を使います。25日線が75日線を上回ったらゴールデンクロス(出来高が増加トレンド、買いシグナル)、25日線が75日線を下回ったらデッドクロス(出来高が減少トレンド、売りシグナル)です。

日々の出来高を見ているだけでは、出来高のトレンドを判断しにくいですが、出来高移動平均線のクロスをシグナルとすれば、売買タイミングはとらえやすくなるでしょう。

ただし、株価と出来高の関係は一定ではなく、銘柄や相場状況に応じて変化します。銘柄ごとに出来高移動平均線のパラメータを調整したり、他のトレンド系指標と合わせて判断したりすることが大切です。

次回は、出来高を用いたテクニカル指標である「価格帯別出来高」について説明します。
 

 

みずほ証券からの
ひとこと

みずほ証券のオンライントレードサービス「みずほ証券ネット倶楽部」の詳細リアルチャートでは、出来高移動平均線を利用することができます(パラメータの変更もできます)。ぜひご利用ください。

中村 克彦

中村 克彦みずほ証券マーケットストラテジスト

日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)副理事長
国際テクニカルアナリスト連盟(MFTA)検定テクニカルアナリスト


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