SUMMARY
買いたい銘柄や売りたい銘柄があるときに、「いつ」売買するのかを見極めるのが重要です。
今回は、売買タイミングを予測するのに役立つ「トレンドチャネル」について説明します。
トレンドチャネルとは?
トレンドチャネルとは、「主要トレンドに沿って動く価格の上限~下限の平行ゾーン(上限のトレンドラインと下限のトレンドラインの間)」のことです。
トレンドチャネルは主に次のような目的に使われます。
- 売買タイミングの推測と確認
- 相場の行き過ぎのチェック
- トレンド転換のシグナルの推測と確認
トレンドチャネルを使えば、適切な売買タイミングを判断しやすくなります。ぜひ学んでおきましょう。
トレンドチャネルの作り方
トレンドチャネルの作り方です。
まず、2点以上の高値を結んで「上値抵抗線(レジスタンスライン)」を引きます。次に2点以上の安値を結んで「下値支持線(サポートライン)」を引きます。
上値抵抗線と下値支持線の間がトレンドチャネルで、トレンドが継続する間は価格がトレンドチャネルの範囲を上下しながら動くと考えるのが基本になります。
実際のチャートを見ながらトレンドチャネルの役割を確認していきましょう。
売買タイミングの推測
下の図は、安値と安値、高値と高値の「切り上がり」が継続するパターンの「上昇トレンドチャネル」です。実際に上昇トレンドだとわかるのは、安値②から高値②の過程で、高値①を上回ったときです。
高値①を上回った時点では、高値②までの上値余地が限られるため、再度下値支持線(トレンドチャネル下限近辺)まで、価格が下がる調整局面を待ちます。下値支持線近くで出来高を伴って、価格が下げ止まった場合や、数日間の下値固めとなった場合は、ここで買い注文を出すとよいでしょう。
このときに注意したいのは、価格の下げは、安値①と安値②を結んだ下値支持線上でピタリと止まるとは限らないということです。下値支持線の手前で切り返すこともあれば、下値支持線を少し下回ることもあります。
下値支持線近辺で買ったら、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線(トレンドチャネル上限)の延長線上を売りのタイミングの目安とします。
トレンドチャネルは「上値」や「下値」の一つの目安ですが、下値支持線の傾きに合わせ、移動平均線などのテクニカル指標を用い、より精度の高い複眼的な分析をするとよいでしょう。
相場の行き過ぎのチェック
トレンドチャネルは「相場の行き過ぎのチェック」にも役立ちます。
価格が上値抵抗線を勢い良く上回ったり(下図参照)、逆に下値支持線を一気に下回ったりしてトレンドチャネルを逸脱した場合は、「相場の行き過ぎ」を示唆します。
実際のチャートで見ていきましょう。下の図は「買われ過ぎ」の局面で、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線を勢い良く上回るパターンです。 短期売買を繰り返し、あまりに近視眼的な見方に陥ってしまうと、このような局面で高値づかみをしてしまう傾向があります。トレンドチャネルを逸脱した場合は「相場の行き過ぎ」による警戒局面でもあるので、冷静になることも大切です。
実際のチャートの例で見てみると、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線の延長線上で売りのタイミングを示唆しています。その後、上値抵抗線を上回ったところが高値の極値となっています。少し相場が行き過ぎてしまった場面です。
1年から数年間続く長期トレンドであるメイントレンドが上昇傾向であったとしても、数日間の短期トレンドであるマイナートレンドが下値支持線に向かっている調整局面で買うことが基本です。
(メイントレンドとマイナートレンドについては、「基礎からわかる!テクニカル分析入門④トレンドラインで知る!買いサイン・売りサイン(1)株価トレンドの長さと種類」で紹介しています。)
価格が上値抵抗線を勢い良く上回ったり(下図参照)、逆に下値支持線を一気に下回ったりしてトレンドチャネルを逸脱した場合は、「相場の行き過ぎ」を示唆します。
実際のチャートで見ていきましょう。下の図は「買われ過ぎ」の局面で、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線を勢い良く上回るパターンです。 短期売買を繰り返し、あまりに近視眼的な見方に陥ってしまうと、このような局面で高値づかみをしてしまう傾向があります。トレンドチャネルを逸脱した場合は「相場の行き過ぎ」による警戒局面でもあるので、冷静になることも大切です。
実際のチャートの例で見てみると、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線の延長線上で売りのタイミングを示唆しています。その後、上値抵抗線を上回ったところが高値の極値となっています。少し相場が行き過ぎてしまった場面です。
1年から数年間続く長期トレンドであるメイントレンドが上昇傾向であったとしても、数日間の短期トレンドであるマイナートレンドが下値支持線に向かっている調整局面で買うことが基本です。
(メイントレンドとマイナートレンドについては、「基礎からわかる!テクニカル分析入門④トレンドラインで知る!買いサイン・売りサイン(1)株価トレンドの長さと種類」で紹介しています。)
トレンド転換の推察・確認
最後にトレンドチャネルと価格の動きを照らし合わせて「トレンド転換の推測と確認」をする方法をご紹介します。
まずは上昇トレンドから下降トレンドに転換するパターンです。
高値と高値、安値と安値が切り上がる上昇トレンドチャネルの場合、①のように価格が上値抵抗線まで届かなくなると、上昇トレンドの変調の兆しです。しかし、この時点ではまだ上昇トレンドは継続中とみなします。
次に、上値が重くなり、②のように価格が下値支持線を下に割り込んだ場合、継続していた上昇トレンドが下降トレンドへ転換した“シグナル”とみなします。特に、下値支持線をザラ場中の安値ではなく、終値ベースで下へ割り込んだ場合、下降トレンド転換の信頼性は高くなります。
そして、③のように下値支持線が上値抵抗線へと変わる局面を「トレンドの反転」とみなし、戻り売りのタイミングとなります。③の局面で出来高や売買代金の増加を伴わない場合、上昇トレンドは劣勢と判断し、下降トレンド入りはさらに信頼性の高いものとなります。
下降トレンドから上昇トレンドに転換するパターンを見ていきましょう。
高値と高値、安値と安値が切り下がる下降トレンドチャネルの場合、①のように価格が下値支持線まで下がらなくなると「トレンドの変調」のサインです。
次に、②のように価格が上値抵抗線を上回った場合、下降トレンドから上昇トレンドへ転換した“シグナル”とみなします。上値抵抗線を終値ベースで上回った場合、上昇トレンド転換の信頼性は高くなります。
③のように上値抵抗線が下値支持線に変わると「トレンドの反転」とみなし、この局面は「押し目買い」のタイミングとなります。
実際のチャートでトレンド転換の実例を見ていきましょう。
①の時点で、価格は下値支持線の手前で切り返していますが、これがトレンド変調の兆しです。この段階では、まだトレンド転換とは言い切れず、下降トレンド継続中とみなします。
その後、②で価格が上値抵抗線を上回ったら(ブレイクしたら)、下降トレンドから上昇トレンドへの「トレンド転換」のシグナルとなります。
そして、③で上値抵抗線が下値支持線へと反転したら「トレンドの反転」とみなし、押し目買いのタイミングになります。
トレンドが反転したあとは、①と③の安値を結んだ線が新しい下値支持線となり、その延長線上を買いのポイントとして調整局面を待つことになります。
今回は売買タイミングを予測するトレンドチャネルの見方について説明しました。トレンドチャネルだけでなく、各種移動平均線をはじめ、トレンドの有無や強弱を示すDMIなど、他のテクニカル指標を併用して分析の精度を高め、バランス良くアプローチすることが大切です。
次回以降は、個別のテクニカル指標について説明していきます。
まずは上昇トレンドから下降トレンドに転換するパターンです。
高値と高値、安値と安値が切り上がる上昇トレンドチャネルの場合、①のように価格が上値抵抗線まで届かなくなると、上昇トレンドの変調の兆しです。しかし、この時点ではまだ上昇トレンドは継続中とみなします。
次に、上値が重くなり、②のように価格が下値支持線を下に割り込んだ場合、継続していた上昇トレンドが下降トレンドへ転換した“シグナル”とみなします。特に、下値支持線をザラ場中の安値ではなく、終値ベースで下へ割り込んだ場合、下降トレンド転換の信頼性は高くなります。
そして、③のように下値支持線が上値抵抗線へと変わる局面を「トレンドの反転」とみなし、戻り売りのタイミングとなります。③の局面で出来高や売買代金の増加を伴わない場合、上昇トレンドは劣勢と判断し、下降トレンド入りはさらに信頼性の高いものとなります。
下降トレンドから上昇トレンドに転換するパターンを見ていきましょう。
高値と高値、安値と安値が切り下がる下降トレンドチャネルの場合、①のように価格が下値支持線まで下がらなくなると「トレンドの変調」のサインです。
次に、②のように価格が上値抵抗線を上回った場合、下降トレンドから上昇トレンドへ転換した“シグナル”とみなします。上値抵抗線を終値ベースで上回った場合、上昇トレンド転換の信頼性は高くなります。
③のように上値抵抗線が下値支持線に変わると「トレンドの反転」とみなし、この局面は「押し目買い」のタイミングとなります。
実際のチャートでトレンド転換の実例を見ていきましょう。
①の時点で、価格は下値支持線の手前で切り返していますが、これがトレンド変調の兆しです。この段階では、まだトレンド転換とは言い切れず、下降トレンド継続中とみなします。
その後、②で価格が上値抵抗線を上回ったら(ブレイクしたら)、下降トレンドから上昇トレンドへの「トレンド転換」のシグナルとなります。
そして、③で上値抵抗線が下値支持線へと反転したら「トレンドの反転」とみなし、押し目買いのタイミングになります。
トレンドが反転したあとは、①と③の安値を結んだ線が新しい下値支持線となり、その延長線上を買いのポイントとして調整局面を待つことになります。
今回は売買タイミングを予測するトレンドチャネルの見方について説明しました。トレンドチャネルだけでなく、各種移動平均線をはじめ、トレンドの有無や強弱を示すDMIなど、他のテクニカル指標を併用して分析の精度を高め、バランス良くアプローチすることが大切です。
次回以降は、個別のテクニカル指標について説明していきます。