株主総会は何をするところ?
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株主総会は何をするところ?

SUMMARY

株主になるといくつかの権利を得ることができますが、そのうちの一つが株主総会に参加する(議決権を行使する)権利です。株主総会は、株式会社における最高の意思決定機関ですが、どのようなことをするのでしょうか。今回は株主総会について解説します。

株主総会とは?

株主総会には、「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種類があります。

定時株主総会は、事業年度が終了した後、一定の時期までに開催されます。議案(決議事項)は、剰余金の配当、役員の選任などが中心です。決議を必要とする議案は、株主総会の2週間前までに発送される招集通知に明示されます。

臨時株主総会は、定時株主総会以外の株主総会です。臨時株主総会は、会社法296条第2項に定められたものです。緊急の事案が発生した場合など、開催の必要がある場合に、取締役会がいつでも招集することができます。

株主総会での議決権を得るためには、「基準日」と呼ばれる一定の日に株主名簿に記載または記録されている必要があります。多くの会社は、基準日を決算期に一致させています。

この基準日は、会社法124条により、権利行使日(つまり株主総会の開催日)の3ヵ月以内とされています。日本では3月期決算企業が多いため、その3ヵ月後に当たる6月下旬に定時株主総会が集中して開催されます。

株主総会での決議方法

株主総会での決議方法は、3種類あります(会社法309条)。

まず、原則的な決議要件に当たる「普通決議」は、定足数として「議決権の過半数を有する株主の出席」、表決数として「出席株主の議決権の過半数の賛成」が必要とされています。

「特別決議」は、株式併合や減資、定款変更、事業譲渡、合併、監査役の解任など、会社の根本を左右するような事項についての決議方法です。特別決議の定足数は「議決権の過半数を有する株主の出席」で普通決議と変わりませんが、表決数として「出席株主の議決権の3分の2以上の賛成」が必要とされています。

その他、要件がより厳格な「特殊決議」があります。

「議決権」は通常、10株なら10の議決権、100株なら100の議決権というように、「1株1議決権の原則」に基づいて付与されますが、市場での株式売買に用いられる単元株制度を、議決権行使の最小単位として設けている会社もあります。この場合には、例えば1単元が100株の場合には、100株に対して1の議決権が与えられます。

株主総会の流れ ネットで中継を見たり議決権を行使したりすることも可能

上場会社の株主総会の日時や場所、議案などの「株主総会資料」は、インターネットで確認することができます。また「書面投票」や、インターネットなどを利用した「電子投票」によって議決権を行使できる制度もあり、議決権を行使するための利便性も高まっています。

遠くに住んでいる人や、何社もの株を持っている人など、自分で株主総会に出席できない株主は、代理人を出席させることによって議決権を行使することもできます。ただ、無制限に代理行使を認めてしまうと混乱を招くおそれもあるため、多くの株式会社は定款に「代理人は株主に限る」旨を定めています。

会社法では株主総会の会場に関する制約がほとんどなくなったので、ホテルのホールを借りるなど、本社とは別の地域で開催する例も多くなっています。

会社法314条では、取締役や監査役などに対し、株主総会で株主から説明を求められた場合の説明責任について定めています。最近は積極的に発言する個人株主も増え、それに長時間応える経営陣の姿が報道されることもあります。たとえ何時間かかったとしても、多くの株主から納得を得られるように努める会社の姿勢が一般的になってきました。

株主総会を楽しむ

株主総会は会社の重要な事項を決める大切な会議です。同時に、会社にとっても個々の株主とのコミュニケーションを図り、より円滑な関係を築く格好の機会でもあります。このため出席してくれた株主に対し、さまざまなサービスを提供している会社もあります。

株主にとって魅力的なサービスの代表格は、自社製品などの「お土産」でしょう。総会が終わった後に、会社の事業内容や組織について、よりフレンドリーに説明する場を設ける例も多くみられます。特に、通常はあまり一般消費者にはなじみのない生産財や中間財のメーカーなどは、こうした機会を利用することに積極的です。

芸能事務所といった音楽関連の会社が、所属するアーティストのライブを開いたり、ゲームメーカーが株主に同伴して来た子どもたちにゲームで遊べるようにしたりといったサービスもあるようです。

みずほ証券からの
ひとこと

株主総会は、投資する企業の経営者とコミュニケーションを取ることができる貴重な機会です。企業がどれほど株主を重要視しているか窺い知る機会とも言えるでしょう。開催日時や場所によって参加することが難しいケースもあると思いますが、機会があればぜひ参加してみてはいかがでしょうか。


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