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基礎からわかる!テクニカル分析入門③ 覚えよう!ローソク足の見方
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基礎からわかる!テクニカル分析入門③ 覚えよう!ローソク足の見方

SUMMARY

株価の動きを知るときにまず覚えたいのが「ローソク足」です。
今回はローソク足を含めたテクニカル分析、別名「罫線(=チャート)」を解説します。

チャートは「米相場」から生まれた!?世界最初の先物市場

テクニカル分析は、今から約300年前、大阪堂島の米相場が始まりと言われています。

お米を現物で取引するのではなく、これから豊作で値下がりするのか、不作で値上がりするのかを予想し、まだ収穫されていない未来のお米に値段をつけて取引することが始まりました。これが世界ではじめての先物市場と言われていて、江戸時代の人は今で言うデリバティブ取引をやっていたのです!

お米の先物価格の推移をみながら、将来の価格や市場参加者の心理を読み解こうとするテクニカル分析の試みがこのころ生まれました(必勝法を編み出し、大儲けした人もいたとか…)。

当時は「テクニカル」という言葉はなかったので、「罫線(けいせん)分析」と言われていたそうです。その後、明治に入り、日本でも株式取引所が設立され、株式でも罫線が利用されるようになりました。技術的にはむしろ、米相場よりも株式市場への応用によって罫線は大きく前進したと言われています。

ローソク足の誕生!

明治30年代になると、日本の出版社が「ローソク足」、別名「陰陽線」を開発して、テクニカル分析が徐々に一般に浸透するようになりました。

戦後のテクニカル分析は、公社債市場を含む証券市場一般に活躍の場を広げ、今では外国為替市場、各種先物市場などでも活用されています。日本で先に普及したわけですが、シンプルな「バーチャート」が主流であった欧米でも、昨今はローソク足が「キャンドルスティック」と呼ばれ普及しています。

ローソク足の読み方

それではローソク足の読み方を見ていきましょう。

1本のローソク足を描くには4つの値段が必要です。4つの値段とは、期間中の「始値(はじめね)」「高値(たかね)」「安値(やすね)」「終値(おわりね)」のことで、総称して四本値とも言います。

1日の動きを1本で表すのであれば「日足(ひあし)」、一週間の動きを表すのであれば「週足(しゅうあし)」、1ヵ月の動きを表すのであれば「月足(つきあし)」、1年の動きを表すのであれば「年足(ねんあし)」と呼びます。

日足の場合、4つの値段(四本値)はそれぞれ次のようになります。

始値・・・その日の最初(寄付=よりつき)に取引された値段
高値・・・その日の取引時間中(ザラ場)で一番高かった値段
安値・・・その日の取引時間中(ザラ場)で一番安かった値段
終値・・・その日の最後(引け=ひけ)に取引された値段

始値から終値にかけて値段が上昇したときのローソク足は「陽線」と言い、中を塗りつぶさない枠線のローソクで表します。逆に始値から終値にかけて値段が下落したときのローソク足は「陰線」と言い、塗りつぶしのローソクで表します。(陽線は赤・陰線は緑で色分けされることがありますが、反対の色使いをしていることもあるので、枠線か塗りつぶしか否かを覚えた方が正確でしょう)

始値と終値をつないで囲った四角い枠を「実体」、実体から上下に伸びた棒を「ヒゲ」と呼びます。

このローソク足を時系列順に並べて連続させたものが「チャート」です。

ローソク足の値動きを知る

同じ1本の日足のローソク足でも、日中の値動きが異なる場合があります。下の図を見てください。

ピンク色の線は、前場に高値をつけて、後場に下がり安値をつけ、その後、引けにかけて切り返し上昇したパターンです。青色の線は、前場に安値をつけて、後場に株価が上がって高値をつけ、大引けにかけて値下がりしたパターンです。
このように、見た目は同じ1本のローソク足で表されていても、実際の動きは異なる場合がありますので、ローソク足1本のみでの分析は避けた方が良いでしょう。

9つの基本型

ローソク足には9つの基本型があります。

①~④が陽線、⑤は実体のない「十字足」と呼ばれるローソク足、⑥~⑨が陰線です。

①は、始値から終値にかけて終日株価が上昇し続けていることを表し、「大陽線」と呼ばれています。この「大陽線」が底値圏ででたら、上昇トレンドへの変換のシグナルだと言われています。

上下に短いヒゲがでている「コマ」と呼ばれるローソク足(④と⑥)と、始値と終値が同じ「十字足(⑤)」は、“迷い相場”、つまり相場がどちらに動くかわからない場合にでると言われています。

特に「十字足」は、売りと買いの強い攻防を表すもので、高値圏もしくは安値圏ででたら“トレンド方向転換のシグナル”と言われています。ただし、これはあくまでもローソク足1本の動きなので、将来の動きをある程度予測するには、複数のローソク足を分析する必要があります。
 

3本のローソク足で分析力UP

ローソク足を3本組み合わせると、1本のみでの分析とは違った見方ができます。

図①は大陽線が3本並んだ、つまり3日間高値引けした動きを示しています。これを「赤三兵(あかさんぺい)」と呼び、上昇トレンドを表しています。

一方、図②のように大陰線が3本並び、3日間安値引けしたものを「三羽烏(さんばがらす)」と呼び、下降トレンドを表しています。

図③のように1日目陰線・2日目小さな陽線・3日目に大陽線がでた場合、3本をまとめると下ヒゲの長い陽線になります。これは底入れを暗示する「明けの明星(あけのみょうじょう)」と呼ばれています。図④はその逆で、「宵の明星(よいのみょうじょう)」と呼び、天井を暗示していると言われています。

このように日足3本の中での始値・高値・安値・終値を用いてローソク足を作ってみると、先ほどの9つの基本形のどれかに当てはまるので、どんな力が働いているのか、よりわかりやすくなります。

実際のチャートで使ってみよう

実際にチャートをみてみましょう。こちらは日足のチャートです。
出所:QUICK Astra Managerのデータよりみずほ証券作成

いったん下落したチャートに「赤三兵」がでると、そこから上昇トレンドとなり、少し下がったあとでもう一度「赤三兵」が出現。引き続き上昇トレンドとなっています。

天井を形成したあとに「三羽烏」が二度でると、下降トレンドに転換しています。このようにチャートをまとめてみると、上昇トレンド、下降トレンドが読みやすくなります。

ローソク足を3本組み合せると、1本のみの場合よりも分析の精度が高まると言えるでしょう。

底値や天井を見極めよう!

こちらは底値圏での動きのチャートです。
出所:QUICK Astra Managerのデータよりみずほ証券作成

高値引け3本が続いた「赤三兵」ののち、押し目で「明けの明星」がでています。これは、下がったときに買いが入り、底値が固まりつつあるパターンと言えるでしょう。

「赤三兵がでたから上昇だ!」と近視眼的にならず、少し冷静になって中長期的に底値や天井をとらえることが大切です。

日足、週足、月足…期間が変わればローソク足の形も変わる?

日足のチャートだけではなく、時系列を長くして週足や月足をみることも大切です。
出所:QUICK Astra Managerのデータよりみずほ証券作成

2つのチャートを上下に並べていますが、上が日足チャート、下が同じ銘柄の週足チャートです。

日足チャートでは四角で囲った時点より少しあとに上昇トレンドになっていますが、四角の時点でトレンドをつかむのは難しいでしょう。

しかし、週足チャートでみると、先ほどの四角で囲った時点で底入れを暗示する「明けの明星」がでていることがわかります。

このように、マーケットの転換点をみるためには、日足だけではなく、週足やときには月足を分析することが大切です。普段、私たちの視点は短期的になりがちですが 、発生しうる損失を抑え、投資のパフォーマンスを上げるためには、月足、週足、日足…といろいろな方向からチャートを眺めることも重要です。
中村 克彦

中村 克彦みずほ証券マーケットストラテジスト

日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)副理事長
国際テクニカルアナリスト連盟(MFTA)検定テクニカルアナリスト


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