SUMMARY
「ボリンジャーバンド」は、移動平均線を応用したテクニカル指標です。移動平均線を中心に複数のバンドが描かれる特徴的な形状をしており、投資家からの人気が高い指標の一つです。
今回は、図を用いながらボリンジャーバンドについて説明します。
ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドは、アメリカのジョン・ボリンジャーが考案したテクニカル指標です。移動平均線に「標準偏差」を盛り込み、上下にかい離させたバンドです。
最初に標準偏差について説明します。
標準偏差とは、データのばらつき(散らばり具合)を表す値のことです。統計学などでよく使われ、単位として「σ(小文字のシグマ)」が一般的に使われます。
同じような値が多いと標準偏差が小さく、ばらつきが大きいと標準偏差(σ)は大きくなり、平均を中心に全体の約68%のデータが入る距離を±1σ、約95%が入る距離を±2σと表します。
ボリンジャーバンドは標準偏差の考え方をチャートに応用し、移動平均線を中心(0)とした場合、ある期間の約68%の終値が入る距離を±1σ、約95%が入る距離を±2σとしています。
ボリンジャーバンドの中心線となる移動平均線は、20日線~25日線を使うのが一般的です。算出にあたっては終値だけでなく、「高値・安値・終値の平均値」を用いるケースもあります。
通常は、価格の大半(約95%)が±2σのバンド内で推移するため、バンドの上限あるいは下限に接近したときに逆張りの指標とみなします。
一方で、終値がバンド(2σなど)をブレイク(終値がバンドの外に出る)したときは、トレンド発生とみなし、ブレイクした方向へ順張り(トレンドフォロー)することが有効とされています。
ボリンジャーバンドの特徴
ボリンジャーバンドは、レンジ相場では頻繁に売買シグナルが発生しますが、1回当たりの収益は小さくなりやすいと言われています。
一方、終値がバンドをブレイクした場合、大きなトレンドが発生し、1回当たりの収益は大きくなりやすいと言われています。
知らない人が多い!?ボリンジャーバンドの本当の使い方
価格の大半は標準偏差から算出されたバンド内に収まるとされ、逆張り指標として世の中に広まったボリンジャーバンドですが、実は考案者のジョン・ボリンジャーは逆張り指標ではなく、順張り指標として活用することを推奨しています。
本人は、「ボリンジャーバンドに触れたことがシグナルではない」とし、「バンドの外側に終値が位置していることはトレンド発生もしくはトレンド継続とし、反転シグナルではない」とボリンジャーバンドは順張り指標であることを明言しています。
これを踏まえると、ボリンジャーバンドを逆張りの指標としてのみ使用するのではなく、順張りの指標としても併用することが、より有効であると言えるでしょう。ボリンジャーバンドの真価は順張りのときこそ発揮されるのです。
本人は、「ボリンジャーバンドに触れたことがシグナルではない」とし、「バンドの外側に終値が位置していることはトレンド発生もしくはトレンド継続とし、反転シグナルではない」とボリンジャーバンドは順張り指標であることを明言しています。
これを踏まえると、ボリンジャーバンドを逆張りの指標としてのみ使用するのではなく、順張りの指標としても併用することが、より有効であると言えるでしょう。ボリンジャーバンドの真価は順張りのときこそ発揮されるのです。
逆張り指標としてのボリンジャーバンド
それでは、ボリンジャーバンドを逆張り指標として活用した場合の実例を見てみましょう。
この例では、ボリンジャーバンドの中心線を25日線としています。
逆張り指標として活用できるのは、価格の多くがバンドの範囲内(±2σは価格の約95%がバンド内に収まる範囲)で動きやすいレンジ相場(ボックス相場)のときです。
レンジ相場の際は、-2σを下限(サポートライン)、+2σを上限(レジスタンスライン)ととらえ、逆張りで対応するのが一般的です。
順張りの指標としてのボリンジャーバンド
次は、ボリンジャーバンドを順張り指標として活用した場合の実例です。
この例でも、ボリンジャーバンドの中心線を25日線としています。
標準偏差である±2σは、価格の約95%の範囲を規定する数値であることから、バンドを逸脱する確率は約5%(上下に約2.5%ずつ)と考えられます。
この約5%(すなわち20回に1回)の確率で終値がバンドをブレイクするということは統計学的にまれであるため、バンドのブレイクを強いトレンドの発生とみなし、バンドがブレイクした方向に順張りするという活用法です。
前述の通り、考案者のジョン・ボリンジャーも順張りでの活用を提唱しています。このとき注目するポイントは3つあります。それは「スクイーズ」「エクスパンション」「バンド・ウォーク」です。
もみ合い(レンジ相場)が続くとバンドは縮小(狭く)していきますが、これが「スクイーズ」で“トレンド発生前の予兆”を示唆します。上の図で①の局面です。
また、終値がバンド(2σなど)をブレイクすると強いトレンドが発生したシグナルとなり、同時にバンドが拡大しますが、これを「エクスパンション」と呼びます。上の図で②の局面です。
さらに、トレンド発生後、ブレイクした側のバンドに沿ってしばらくトレンドが継続する動きを見せていますが、これを「バンド・ウォーク」と呼びます。③の局面が該当しますが、ここからはトレンドフォローが有効になります。
大きな収益機会をとらえるには・・・
最後は、大きな収益機会をボリンジャーバンドで見つける例です。
レンジ相場で有効な逆張り指標に見えるボリンジャーバンドですが、逆張りで小さな収益機会のみを求めていると、バンド・ウォークの発生に気づかず、大きな収益機会を逃してしまうかもしれません。
上の図を見ると、終値がバンドをブレイクしたのち、バンド・ウォークによって大きな収益機会が生じています。
ボリンジャーバンドでは、レンジ相場での小さな収益機会よりも、トレンド相場の大きな収益機会をとらえることが重要なポイントになります。
ここで注意しなければならないのが、トレンドの有無や強弱です。移動平均線かい離率(エンベロープ)やボリンジャーバンドだけの偏ったアプローチにならないように、トレンドそのものの有無を推し量る方向性指数(DMI)や、トレンドの強弱を推し量るMACDなど、複数のテクニカル指標をバランスよく併用することが重要となります。
次回は「出来高と株価の関係」について説明します。
レンジ相場で有効な逆張り指標に見えるボリンジャーバンドですが、逆張りで小さな収益機会のみを求めていると、バンド・ウォークの発生に気づかず、大きな収益機会を逃してしまうかもしれません。
上の図を見ると、終値がバンドをブレイクしたのち、バンド・ウォークによって大きな収益機会が生じています。
ボリンジャーバンドでは、レンジ相場での小さな収益機会よりも、トレンド相場の大きな収益機会をとらえることが重要なポイントになります。
ここで注意しなければならないのが、トレンドの有無や強弱です。移動平均線かい離率(エンベロープ)やボリンジャーバンドだけの偏ったアプローチにならないように、トレンドそのものの有無を推し量る方向性指数(DMI)や、トレンドの強弱を推し量るMACDなど、複数のテクニカル指標をバランスよく併用することが重要となります。
次回は「出来高と株価の関係」について説明します。
みずほ証券からの
ひとこと
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