日経平均株価とTOPIXの違い
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日経平均株価とTOPIXの違い

SUMMARY

日々のニュースで耳にすることも多い日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)は、株式市場の動向を知るうえで代表的な株価指数です。2つの指数の違いをご存じでしょうか。
今回は、日経平均株価とTOPIXの違いについてみていきましょう。

日経平均株価とは

日経平均株価は、日本経済新聞社が算出・公表している日本の代表的な株価指数です。

以前は、ニューヨークダウ平均株価(NYダウ)を算出しているダウ・ジョーンズと提携し、NYダウの日本版として日経ダウ平均という名前で呼ばれていました。

日経平均株価は日本国内で最も有名な株価指数ですが、上場しているすべての銘柄の平均株価ではありません。東証プライム上場企業の中から、市場流動性の高い銘柄を中心に、セクター(業種)間のバランスに配慮して選ばれた225銘柄の平均株価(株価平均型)です。

各企業の発行済み株式数は考慮せず、基本的には採用銘柄の株価を合計して銘柄数で割った単純平均の考え方で算出しています。ただし、指数の連続性を保つため、株式分割や株式併合などのコーポレートアクションや、採用銘柄の入れ替えなど、株価変動以外の影響を排除して算出しています。

そのため、計算の際には、株式市場で取引されている株価そのものではなく、株式分割や株式併合の影響を排除するための係数である「株価換算係数」で調整した株価が使われています。除数についても225ではなく、変動を考慮した除数が使われています。

また、日経平均採用銘柄である225銘柄は指標性を保つため、原則として4月と10月の第1営業日に「定期見直し」を実施しています。また、上場廃止など構成銘柄から除外される銘柄が発生した際に不定期に補充する「臨時入れ替え」を行っています。

TOPIXとは

TOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所が算出・公表を行っている指数です。日本の株式市場ほぼ全体の資産価値の動きを表します。

1968年1月4日における東証一部の時価総額を基準(=100)とし、現在のTOPIX構成銘柄の相対的な価値を表します。例えば、TOPIXが2,700だとしたら、時価総額が基準日の27倍であることを意味しています。

算出方法

TOPIXは「浮動株時価総額加重平均方式」で算出します。「浮動株」とは、大株主等の安定株主以外が保有する株式のことです。浮動株の割合で構成銘柄の時価総額を加重平均します。

構成銘柄

東証の市場再編を契機に、TOPIX構成銘柄は段階的に見直されています。現時点では、スタンダード市場やグロース市場に所属する銘柄も含まれています。しかし、プライム市場の上場維持要件の1つである「流通株式時価総額が100億円以上であること」を満たさない銘柄は、段階的にウエイトが低減され、2025年1月最終営業日に除外される予定です。


TOPIXは、日経平均株価と同様に、日本経済の動向を示す代表的な経済指標として用いられています。ETFや投資信託などの金融商品のベンチマークとしても利用されています。

日経平均株価とTOPIXの違い

日経平均株価とTOPIXにはそれぞれの値動きに特徴があります。

日経平均株価は、東証プライム上場企業の中から代表的な225銘柄の平均株価を算出するため、主力銘柄の動きを把握する際にわかりやすい指標と言えます。ただし、株価の大きな銘柄(値がさ株)の影響を受けやすい特徴があるため、マーケット全体の動きを反映しないケースがあることに留意が必要です。

一方TOPIXは、時価総額を使用して指数を算出するため、「時価総額の大きい銘柄や業種」の影響を強く受けます。時価総額の大きい業種として、電気機器、輸送用機器、情報・通信、銀行などが挙げられます。

「NT倍率」とは

両指数の値動きの差に着目した「NT倍率」は、株式市場全体の方向性を把握する指標です。

NT倍率は、日経平均株価をTOPIXで割って算出します。2024年4月1日現在のNT倍率は、14.63倍です。日経平均株価がバブル後安値をつけた2009年3月10日以降は、10倍以上で推移しています。

NT倍率はどのような意味をもつのでしょうか。日経平均株価は特定の値がさ株の影響を受けるため値動きが大きくなりやすく、ヘッジファンドなどの短期筋による先物やオプションの売買が集まりやすい傾向にあります。国際情勢など、外部環境の変化に合わせて日本株全体が大きく動く場合は、先行して日経平均株価が動き、TOPIXが追随するパターンが見受けられます。この場合に、日経平均の上昇率がTOPIXの上昇率より高くなれば、NT倍率は上昇することになります。

日経平均株価とTOPIXのそれぞれの特徴を理解すれば、資産運用の参考になるのではないでしょうか。

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