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「生前贈与」で活用できる控除・非課税枠とは?
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「生前贈与」で活用できる控除・非課税枠とは?

SUMMARY

生前贈与には一定の非課税枠が設けられています。贈与資金の用途などに応じて活用できる非課税枠が異なりますので、どのような制度が設けられているかを事前に確認しましょう。

生前贈与とは

生前贈与とは、生前に子や孫などに財産を贈与することです。生前贈与を行い、相続時の財産を減らすことで、相続税の負担を軽減できるため、生前贈与は相続税対策として有効です。

なお、贈与した財産は贈与税の対象となり、一定金額を超えた場合は贈与税がかかります。非課税枠内で贈与することや、特例制度の活用などの対策を講じるとよいでしょう。

贈与は、口約束だけでも契約が成立しますが、後々のトラブルに発展する可能性があるので贈与契約書を作成することをおすすめします。
 

生前贈与で活用できる贈与税の控除・非課税枠

生前贈与で活用できる非課税枠には、7つの方法があります。

1.110万円の基礎控除

贈与税は基礎控除があり、年間110万円までの贈与は非課税です。この基礎控除を利用して、毎年110万円以下の財産を少しずつ贈与していくのが暦年贈与です。

2.相続時精算課税制度における2,500万円の特別控除

相続時精算課税制度とは、受贈者(18歳以上の子および孫)が2,500万円まで贈与税を納付せずに贈与を受けることができ、贈与者が亡くなったときにその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税する制度です。また、2024年1月からは、年間110万円の基礎控除が設けられました。なお、特別控除額の2,500万円は一度の贈与で使い切る必要はなく、翌年に繰り越して利用することも可能です。

なお、本制度は暦年贈与との併用はできません。相続時精算課税制度をいったん選択すると暦年贈与に変更することはできません。

3.教育資金の一括贈与

祖父母や両親が、30歳未満の子や孫に対して教育資金として1,500万円までを非課税で贈与できる制度です。

教育資金として適用されるものは、次の通りです。
・入学金
・授業料
・通学費
・習いごと費用(500万円が上限)など

贈与を受けた前年分の受贈者の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この制度の適用を受けることはできません。

4.結婚・子育て資金の一括贈与

祖父母や両親が、18歳以上50歳未満の子や孫などに、将来の結婚・子育て資金として1,000万円(結婚資金は300万円)までを非課税で贈与できる制度です。

結婚・子育て資金として適用される費用は、次の通りです。
・婚礼や新居に係る費用
・妊娠・出産に係る費用
・子に対する医療費
・保育料など

なお、贈与を受けた前年分の受贈者の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この制度の適用を受けることはできません。

5.住宅取得等資金の贈与

祖父母や両親が、子や孫などの住宅の購入費や増改築費を支援する場合、省エネ等住宅(省エネ・耐震・バリアフリー)であれば1,000万円まで、それ以外の住宅については500万円までが非課税となる制度です。

省エネ等住宅とは、次のいずれかの条件を満たす住宅を言います。
1. 熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上である
2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物である
3. 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上である

なお、贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円)を超える場合はこの制度の適用を受けることはできません。

6.贈与税の配偶者控除(夫婦間の住居の贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、住居や住居購入費などの贈与があった場合、最高2,000万円までの贈与財産が控除できる制度です。この制度は基礎控除の110万円と併用ができます。

適用を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
・婚姻期間が20年を過ぎている配偶者からの贈与であること
・贈与する財産は、住居用の不動産または住居を取得するための資金であること
・贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与された住居や贈与によって得た資金で取得した住居に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

同じ配偶者からの贈与に適用できるのは、一生に一度だけです。

7.特定障害者に対する贈与税の非課税枠

特定障害者に贈与する場合、特別障害者については6,000万円、特別障害者以外の障害者のうち精神に障がいがある方については3,000万円までの贈与財産が非課税となります。

この制度の適用を受けるには、信託銀行に資金を信託し、信託銀行経由で税務署に障害者非課税信託申告書を提出する必要があります。提出後、信託銀行は生活費や医療費などを信託口座にある財産から定期的に支払います。ただし、信託銀行によっては信託報酬がかかる場合があるため、利用する場合には費用を事前に確認しましょう。
  • 本記事は2024/4/12時点の法制度を基に作成しています。

みずほ証券からの
ひとこと

このように、贈与税にかかる控除・非課税枠は、資金の用途や贈与の方法によってさまざまです。また、制度や特例を利用する場合は、届出書の提出や、金融機関との契約が必要になることがあります。贈与の目的や受贈者、贈与額などを考慮して相続税対策を進めましょう。

関連リンク

みずほ証券では、みずほ信託銀行と連携し、相続税対策を含めたトータルサポートサービスをご提供しています。

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