米国株式市場
米国の株式市場※は、世界最大、かつ、最も影響力のある金融市場です。2024年11月時点で時価総額は約60兆ドルを超え、世界の株式市場全体の約50%を占めています。アップルやマイクロソフト、アマゾンといった世界的に有名な企業が上場しており、グローバル経済の動向に大きな影響を与えています。
※米国の主な株式市場には、ニューヨーク証券取引所とNASDAQ市場があります。
S&P500とは
S&P500の概要
S&P500(エス・アンド・ピー500)は、米国株式市場を代表する株価指数の一つで、1957年に導入されました。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表しており、米国の大手上場企業500社の株価を基に計算されています。
S&P500は、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしているため、市場全体の動向を把握するのに適しています。さらに、多くの投資家やファンドマネジャーが、投資成績の比較対象としてS&P500を使用しているため、ベンチマーク(パフォーマンス評価の基準)の役割も果たしています。
S&P500の特徴
S&P500は、「時価総額加重平均方式」という算出方法を採用しています。
時価総額加重平均方式とは、時価総額の平均化ではなく、各企業の時価総額の大きさを考慮して計算するため、時価総額が大きい企業ほど、指数に与える影響が大きくなります。
S&P500の構成銘柄
S&P500の構成銘柄は、
- 米国に本拠地があること
- 時価総額が180億ドル以上(2024年11月時点)
- 直近の四半期および直近の連続4四半期の合計利益がプラスであること
などの基準を満たす企業から選ばれます。
2024年11月18日時点で、情報技術セクターが全体の約32%を占め、次いで、金融(約14%)、一般消費財(約11%)と続いています。
S&P500は、大型株やセクターの偏重といった課題があります。時価総額基準のため、時価総額が大きい上位10銘柄が指数全体の30%以上を占めることがあり、特定のセクターの比重が高くなる傾向があります。また、成長途上の新興企業があまり含まれていないことも特徴の一つです。
NYダウとは
NYダウの概要
NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)は、米国を代表する株価指数の一つで、1896年に公表が開始された最も古い株価指数です。米国の代表的な30銘柄の株価を基に算出され、その構成銘柄はS&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社により選出されています。NYダウは、運輸産業グループと公共事業セクターを除くすべての業種をカバーしています。
NYダウの特徴
NYダウの主な特徴として、120年以上の歴史を持ち、長期的な経済トレンドを反映していることが挙げられます。また、一般の人々に最もよく知られている株価指数であり、米国を代表する大企業のみで構成されています。収益性や成長性、財務基盤などが優れ、信頼性が高い大手企業(ブルーチップ企業)の動向を把握するのに適しています。
さらに、NYダウは、各構成銘柄の株価を単純に合計し、それを「除数」で割って計算されます。このため、株価の高い銘柄ほど指数に大きな影響を与えます。これは、時価総額加重平均方式を採用するS&P500やNASDAQ総合指数とは異なる特徴です。
NYダウの構成銘柄
NYダウの30銘柄は、
- 米国で設立され、米国に本社を置いている企業であること
- 売上高の大半を米国内で生んでいること
- 企業の評判や成長性
- 株式市場における流動性や安定性
- セクターの代表性やバランス
などの基準を満たす企業から選ばれます。
当初は12銘柄で構成されていましたが、1916年、1928年の銘柄追加を経て30銘柄に拡大されました。NYダウの歴史は米国経済の変遷を反映しています。例えば、1999年にはインターネット企業のマイクロソフトとインテルが追加され、2015年にはアップル、2024年にはエヌビディアが加わりました。一方、2013年にはアルコアやバンク・オブ・アメリカ、ヒューレット・パッカード、2024年にはインテルが除外されるなど、時代とともに構成銘柄も変化しています。
2024年11月18日時点で、金融セクターが全体の約24%を占め、次いで、情報技術(約19%)、ヘルスケア(約16%)と続いています。
NYダウには、構成銘柄数が少ないことや、株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きくなるといった課題があります。30銘柄のみで米国株式市場全体を代表するには限界があり、必ずしも市場全体の動向を的確に反映していない点に留意しましょう。
NASDAQ総合指数とは
NASDAQ総合指数の概要
NASDAQ市場は、1971年に世界初の電子株式市場として設立されました。 NASDAQ総合指数は、NASDAQ市場に上場されているすべての普通株式を対象とした、時価総額加重平均型の指数です。
NASDAQ総合指数の特徴
NASDAQ総合指数も、S&P500と同様に「時価総額加重平均方式」を採用した株価指数で、算出を開始した1971年2月5日の株価を基準値100として計算されています。NASDAQ総合指数は、特にIT関連や半導体関連をはじめとしたハイテク企業の株価動向を反映する指数として知られており、アップル、マイクロソフト、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、アルファベット(グーグル)など、革新的で高成長が期待される企業が多く含まれます。
NASDAQ総合指数の構成銘柄
NASDAQ総合指数の銘柄選定基準は、
- NASDAQに上場していること
- 2004年1月1日以前に他の米国市場に上場していないこと
などの基準を満たす企業から選ばれます。S&P500とは対照的に、米国内外の企業が含まれるうえ、時価総額に制限はなく、大型株から小型株まで幅広く組み入れられています。
2024年11月18日時点で、情報技術セクターが全体の約50%を占め、次いで、一般消費財(約15%)、コミュニケーション・サービス(約15%)と続いています。
NASDAQ総合指数は、構成銘柄が情報技術セクターに偏重しているため、情報技術セクターが不振の際には、S&P500やNYダウよりも大きく下落する傾向があります。また、成長株が中心の構成であるため、市場全体と比較して価格変動が大きい傾向があります。さらに、多くの構成企業が伝統的な財務指標では評価しにくい特徴を持っていることや、IT関連や半導体関連をはじめとしたハイテク企業への規制強化の動きが指数全体に影響を与える可能性があることも知っておくと良いでしょう。
S&P500・NYダウ・NASDAQ総合指数の比較まとめ
3つの指数の構成銘柄、算出方法、特徴などの比較は次の通りです。
インデックスファンドやETFを通じて、これらの指数に投資することができます。