SUMMARY
外部認証機関等からの評価を多数受けているみずほ証券のコールセンター。そのコールセンターのオペレーターは、お客さまからのお問い合わせやご要望にお応えする「声の顔」とも言える存在です。そんなオペレーターの応対品質を向上させるために研修を行い、顧客対応のきめ細かなレクチャーなどを担っているのが「スーパーバイザー(SV)」です。電話越しのお客さまに寄り添うためには何が必要なのか、どのように信頼関係を築いていくべきか。今回は二人のスーパーバイザーに、日々の業務で大切にしていることやオペレーターに伝えていること、お客さまへの想いを聞きました。
【齋木 力】
2008年入社後、数店舗でのリテール営業を経て2020年よりコールセンターでオペレーター業務に従事。2022年よりスーパーバイザーに就任し、オペレーターの育成や顧客対応の指示を行う
【田形 千紘】
他証券会社を経て2017年にみずほ証券に入社。コールセンターでオペレーター業務に従事。2020年よりスーパーバイザー兼研修トレーナーに就任。現在はセンター新規採用派遣社員および異動社員向けの研修を中心に、オペレーターの育成を担う
みずほ証券の「声の顔」として、お客さまに寄り添い続けたい
まずは、コールセンターの役割とスーパーバイザー(以下、SV)の業務内容について教えてください。
- 齋木:
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コールセンターは注文や営業店への取り次ぎ、事務手続といったお客さま応対の全般を担う、いわばみずほ証券の「声の顔」です。「お客さまの声を真摯(しんし)に受け止めて誠意を持って対応する」「笑声(えごえ)で応対する」「満足できる答えを追求して『ありがとう』と言われる終話をめざす」といった理念・指針を胸に刻みながら、多岐にわたるニーズをコールセンター内で完結できるよう、日々お客さまと向き合っています。
- 田形:
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当社のコールセンターは、簡潔かつ正確な回答、お客さまの理解度に合わせた説明、「+α」の情報提供力などが評価され、HDI–Japanが主催する2024年格付けベンチマーク「問合せ窓口格付け」にて最高評価である「三つ星」を獲得しました。これは、9年連続で同評価をいただいているもので(※2024年12月時点)、その根幹を成すのが、プロ意識と確かな知識を有するオペレーターの存在です。私たちSVは、研修やフィードバック、お客さま応対の指示などを通して、実際に応対するオペレーターがスキルを向上させられるよう日々努めています。
SV業務で大切にしていることを教えてください。
- 齋木:
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人材を育成する立場である以上、いかなる状況下でも「自分が担っている業務は最後までやり切る、やり遂げる」ように徹底しています。仮に即答が難しい質問を投げかけられたときには、正しく回答できるよう納得するまで調べてオペレーターに返答することを、自分のルールとして決めています。日々の業務に追われる中でコミュニケーションがおろそかになってしまうと、オペレーターからの信頼や共感は得られません。自分で確認・判断できない場合には関係部署とも連携し、疑問がクリアになるまで十分な時間と工数をかけています。
- 田形:
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私の責務は、お客さまからのご用件を正確に聞き取ることはもちろん、お電話いただいた背景までをくみ取って最善策を探れるオペレーターを育成することです。例えば、入金をご希望のお客さまがいた場合、入金後まで見通して「+α」の対応をできるのが理想ですね。過去の取引や直近のやり取りを確認したうえで、「このあとどのような取引をご希望ですか?」とお尋ねすれば、お客さまに何度もお問い合わせの手間をかけずに済むと思います。そのために、研修で基本的な知識を伝えるのはもちろん、オペレーターのバックグラウンドや日々の応対内容を踏まえたうえで、一人ひとりに合ったフィードバックを行っています。
心情理解ときめ細やかな応対で、お電話口から信頼関係を構築する
お客さまからのご要望に迅速に対応するために、実践していることを教えてください。
- 齋木:
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国内外の重要なニュースやトピックをもとにさまざまな対応方針が決まります。前もって万全な事前準備ができるケースもあれば、突発的な動きへの柔軟な対応が求められるケースもあります。特に後者の場合は、SVが企画管理部署から届く情報やマーケット情勢などを整理し、お客さまへの伝え方をオペレーターに詳しく伝えています。注文チームのSVには、注文窓口への入電量の増加などを注視したうえで、迅速かつ柔軟に対応できる体制づくりが求められますね。
- 田形:
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マーケットは日々刻々と変化するため、毎日の朝会にて情報共有や注意事項の周知を必ず行っています。問い合わせの増加が予想される案件に関しては、「○○なので、マニュアルの○○を復習しておいてください」と声を掛け、必要な情報を提供できるように特別な準備をすることもあります。先日、お客さまの関心が高い企業のIPO(新規公開株式)があった際には、事前に別途研修を設けて対応できるオペレーターを増員しました。
電話だからこそ重視しているコミュニケーションのポイントは?
- 田形:
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お客さまの不安感や時間的な余裕など、表情から読み取れる情報がない状態で応対がはじまるのがコールセンター業務ならではの難しさです。だからこそお客さまのご用件や状況をいち早く察知し、過去の経験なども踏まえながら、ゴールを想像することが大切です。ゴールまでの道のりが不透明なまま話が進んでいくと、ボタンを掛け違えたまま応対が終わってしまう可能性もあります。
先述の例では、「入金したい」とご依頼があった場合には、その先にお買い付けの可能性があると想像できますよね。ではその買い付けがどのようなものなのか、NISAをご利用されるのか、また別の何かなのか──と考えを巡らせていきます。仮に直近のやり取りでNISAのお話が出ているのであれば、NISA利用時の注意点なども一緒にご説明するとお客さまの期待を超える応対につながるでしょう。もちろん、想像したゴールを決めて押し付けるのではなく、お客さまのご意向を第一に考えたうえで説明することが大前提です。
- 齋木:
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確かに道筋を立ててゴールを想像することは大切ですよね。私はお客さまとの会話の中でも特に終話間際の反応に注意して欲しいとオペレーターに伝えています。同じ「分かった」という一言でも、本当にご納得されているのか、不明点が少し残っているのかでは大きな違いがあります。ときには「何が分からないのかが分からない」という状態で話が進んでしまうことがあるので、「この点に不明点を感じるお客さまが多くいらっしゃいますが、大丈夫でしょうか?」などの確認のお声掛けも欠かせません。お客さまの心情理解を徹底し、言葉に表れない潜在的なニーズまでくみ取れるよう指導しています。
お客さまとの信頼関係を構築するため、オペレーターにどのようなことを伝えていますか?
- 田形:
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オペレーターは、どのような状況下であってもお客さま一人ひとりに合った応対をし、ご要望やご用件を正しく把握することに集中しなければなりません。そこで大切になるのが、金融知識だけでなく、言葉の選び方や相づちの打ち方、会話の間の取り方などの細やかな部分です。例えば、「差し支えなければ」や「恐れ入りますが」などのクッション言葉を一言付け加えるだけで、会話の印象はガラリと変わり、結果的にお客さまの心情に寄り添った応対につながります。
実際に、研修では話の聞き方やメモの取り方、言葉の選び方などまできめ細やかに指導しています。実例を挙げるとすれば、「○○さまでいらっしゃいますか」と「○○さまでございますか」の違いです。この二つを聞いた直後、印象はあまり変わりませんが、後者は物に対して使う表現のため不適切です。また、オペレーターにはお客さまの心情に寄り添いつつも、同時並行でお客さまの契約内容などを確認し適切なご案内ができるように指導しています。
- 齋木:
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入社後の研修でまず伝えているのが、「お客さまのお話をしっかり聞くこと」です。当たり前に思われるかもしれませんが、何よりも傾聴力は信頼につながります。正確かつ迅速な対応を望まれる方から、十分な補足を交えながらゆっくりとした応対を望んでいる方まで、求められる応対のあり方もさまざまです。会話のスピードや間の取り方など、お客さまのニーズに合わせた小さな配慮の積み重ねこそが、声でつながるオペレーターとお客さまの信頼関係を生むと思います。
- 田形:
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当社のコールセンターは指名制ではありませんが、中には「次もあなたに対応して欲しいわ」というお言葉をいただくオペレーターもいます。お客さまがどのような状況で何を望まれているのかに寄り添って対応すれば、それが応対に反映されると信じています。
心情に寄り添い、人のぬくもりを感じる応対を。AI活用時代におけるコールセンターの必要性
めざすコールセンター像やSVとして取り組みたいことを教えてください。
- 齋木:
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オペレーターは基礎研修を経たあと、株価照会や営業店への取り次ぎ、お手続対応、ご注文対応といった幾度もの研修やテストを重ねながら、対応可能な業務範囲を拡大します。個々の対応可能範囲を超えたお問い合わせに関しては、センター内の別のオペレーターに転送される仕組みですが、本来理想とするのは最初に受電したオペレーターがワンストップで応対できるコールセンターです。今後もSVとして最上位レベルのオペレーター人員を増やし、お客さまサポートの品質を向上させられるように力を尽くしていきたいです。
- 田形:
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一問一答ではなく「一問十答できるマルチスキルオペレーターを育成」できるよう、HDIや外部団体(公益財団法人日本電信電話ユーザ協会)主催の電話応対コンクールへの参加など、第三者視点で客観的に評価される機会を今後も継続的に設けていきたいです。また、社内においてオペレーターによる好事例を表彰・共有する制度(=ベストプラクティスの共有)も、個々のモチベーションアップや応対力の底上げに貢献すると思います。
お顔が見えないお電話だけでの応対に大変だと感じる瞬間もあります。しかし、そんなときに自分やオペレーターを支えてくれるのが、私たちの応対によってお電話口のお客さまの声のトーンが明るくなった瞬間です。今後もお客さまに少しでも貢献できるよう、SVとして強い責任感を持ってオペレーター育成に励んでまいります。
- 齋木:
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当社のコールセンターは、営業部署の支援を担う部署でもあります。私自身も営業店での勤務を経験しているので、営業店の社員がお客さまの最善をめざし、忙しく大変な日々を過ごしているのを知っています。だからこそSVとしてオペレーターと営業店の橋渡し役を担い、営業店のサポートもしていきたいです。
実際に、営業担当者が外出中や休暇などの場合には「差し支えなければ、私がご用件をお伺いいたします」とお伝えすることもあります。中には担当者しか対応できないこともありますが、コールセンターでも対応可能なことも多くありますので、安心してご用件を申し付けていただきたいです。
AI活用が進む時代における、コールセンターの真価とは?
- 齋木:
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私自身も「コールセンター不要説」という言葉を目にしたこともありますし、AI技術の進化には驚かされます。ただし、人間にしかできない気遣いがあり、お客さまの心情に寄り添って応対できるのはコールセンターならではの価値だと思っています。便利な機能は積極的に導入すべきですが、すべてのお客さまが一様に使いこなせるわけではありません。大切な資産の話をAIに話すのか、人に確認するのかを考えたとき、やはり後者を選ばれるお客さまが圧倒的に多いのではないでしょうか。
- 田形:
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注文や株価照会などの単純な処理に関してはAIで対応できると思いますが、言葉にならない漠然とした疑問や不安を細やかにヒアリングし、最善へと導くようなやり取りは人にしかできないものだと思っています。AI活用が進む時代だからこそ、これまで以上に人のぬくもりを感じるきめ細やかで質の高い応対が求められ続けるはずです。
最後にお客さまへのメッセージをお願いします。
- 齋木:
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いつもみずほ証券のコールセンターをご利用いただきありがとうございます。日々お客さまの声を真摯(しんし)に受け止め、誠実にお答えすることを徹底しております。どのようなお問い合わせでも構いませんので、ぜひお気軽にご利用いただけますと幸いです。
- 田形:
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営業店の担当者へお電話いただくことが多いと思いますが、不在などでお時間をいただく場合もございます。コールセンターでは注文や問い合わせ、事務手続、株価照会、投資相談など、幅広い対応が可能です。引き続き「国内で最も相談したくなるコールセンター」をめざして取り組んでまいりますので、ぜひお困りの際にはお電話くださいませ。