• TOP
  • 知る・気づく
  • 株主総会とは?投資にどう活かす?種類・決議事項・成立要件などを解説
株主総会とは?投資にどう活かす?種類・決議事項・成立要件などを解説
知る・気づく

株主総会とは?投資にどう活かす?種類・決議事項・成立要件などを解説

SUMMARY

株主総会は、株式会社の株主が集まり、会社の重要事項を決定する場です。自分以外の株主の意向が、どのような形で会社に影響を与えているのかを知る貴重な機会でもあります。

本記事では、株主総会の種類や決議事項、成立要件などの基礎知識、株主総会を投資に活かすためのポイントを解説します。

株主総会とは

株主総会は、株式会社の最高意思決定機関であり、株主が経営に関与できる重要な機会です。経営の透明性を確保し、株主と会社の対話を深める場であるとともに、定款変更や役員選任など、会社の運営における重要な決定に対して株主としての権利を行使する場でもあります。

株主にとっての株主総会の意義

会社の経営方針などを確認できる 

株主総会では、経営陣が会社の経営状況や方針、戦略について説明します。企業が発信する情報を基に、会社の将来性を見極め、投資判断の材料とすることができます。

経営陣との対話ができる 

株主総会では、質疑応答の時間が設けられるため、株主は経営陣に直接質問することができます。業績や将来の展望などについて詳細な説明を求めることで、会社の方針や戦略をより具体的に理解できます。

議決権を行使できる 

株主は、株主総会で議決権を行使し、経営に関する重要事項(取締役の選任、定款変更、剰余金の処分など)について意思表示できます。

他の株主の視点や意見に触れられる 

他の株主の意見を聞けるのも、株主総会に参加する利点です。さまざまな視点からの質問や意見は、自身の投資判断を助ける情報になります。

株主総会は、株主(投資家)が会社の経営に関与し、投資先としての企業を正しく理解する重要な機会といえます。株主の権利行使の場であると同時に、投資判断に必要な情報収集の場でもあるのです。

株主総会と取締役会の違い

株式会社の重要な意思決定の場として、株主総会のほかに取締役会があります。これらの違いは次のとおりです。

株主総会と取締役会の違い
項目 株主総会 取締役会
出席者 株主 取締役、社外取締役、監査役(監査役設置会社の場合)
役割 経営方針や重要事項の決議、役員の選任や解任を行う。 経営に関するさまざまな意思決定を行う。
頻度 定時株主総会は、年1回の開催が義務付け。必要に応じて臨時株主総会を開催。 年4回以上開催しなければならない。

株主総会で決められること(決議事項)

株主総会では、さまざまな事項について決議が行われます。

  • 取締役・監査役の選任および解任 
  • 役員報酬の総額決定 
  • 計算書類の承認 
  • 剰余金の処分 
  • 定款の変更 
  • 合併・分割・株式交換 
  • 会社解散  

これらの決議事項は、会社の根幹に関わる重要な意思決定であり、株主の意思を直接反映させる機会です。また、これらの決議には定足数や議決権行使の要件が法律で定められており、適正な手続きを経て決議を行う必要があります。

株主総会はいつ行われる?開催時期と種類

株主総会の開催時期は、会社の種類や目的によって異なります。通常、株主総会には「定時株主総会」と「臨時株主総会」の二つがあり、目的や開催時期が異なります。

定時株主総会とは

定時株主総会は、年1回の開催が義務付けられている株主総会で、一般的には事業年度終了後3ヵ月以内に行われます。例えば、多くの日本企業では3月末に決算を迎えるため、6月頃に定時株主総会が集中します。この総会では、会社の1年間の経営成績や財務状況が報告され、次年度の方針が決定されます。また、財務諸表の承認、役員選任・解任、剰余金配当の決定などが行われます。

臨時株主総会とは

臨時株主総会は必要に応じて開催されるもので、定時株主総会と異なり特定の緊急事項に対応します。例えば、合併や分割、大規模な投資の決定など、会社の存続や事業展開に重大な影響を及ぼす議題が扱われます。臨時株主総会は、取締役会の決議や一定割合の株主からの請求に基づき招集されます。

定足数と表決数

決議の成立要件を理解するうえで知っておきたい、「定足数」と「表決数」について解説します。

定足数とは

株主総会における定足数とは、総会を正式に開催するために必要な最低限の株主出席数または議決権数のことです。この条件を満たさなければ、株主総会を始めることも議案を審議することもできません。

定足数は、企業ごとに定めた定款で、会社法より緩和された条件を設けることも可能です。その場合は、定款に従って定足数が計算されます。

表決数とは

株主総会における表決数とは、議案の可決または否決を決める際に、実際に投票された票数のことです。この表決数が基準を満たすことで、議案が承認されるか否かが決まります。

表決数は株主の持つ議決権数に基づいて算出されます。例えば、1株につき1議決権が与えられる場合、100株を持つ株主は100票を行使できます。

株主総会の成立要件と決議の種類

決議には「普通決議」「特別決議」「特殊決議」の三つがあり、それぞれ成立要件が異なります。一定の重要事項を決議する場合に、普通決議よりも厳格な要件が課されているのが、特別決議と特殊決議です。

普通決議

決議方法に特段の指定がない限り、原則としてこの方法によって決議されます。例えば、剰余金の配当や役員の選解任、自己株式の取得などの決議が行われます。

日常的な経営判断に適用される形式で、可決に必要な要件が比較的緩やかです。なお、定款により定足数を排除することも可能です。

特別決議

特別決議は、会社や株主にとって重要性が高い事項を取り決めるための決議方法です。例えば、会社の定款変更や合併・分割、会社の解散などの決議が行われます。

普通決議よりも高い表決数が求められるため、少数株主の権利が守られるとともに、企業の経営に対する慎重な判断が促されます。

特殊決議

特殊決議とは、特別決議で扱う決議事項よりも、さらに重要性が高い事項を取り決めるための決議方法です。例えば、全株式に譲渡制限を設ける場合や、特定の株主のみ異なる配当条件を設ける場合などに採用されます。

形式 定足数 表決数
普通決議
(会社法309条1項)
 
議決権を行使できる株主の過半数 出席株主の議決権の過半数の賛成
特別決議
(会社法309条2項)
議決権を行使できる株主の過半数 出席株主の議決権の3分の2以上の賛成
特殊決議
(会社法309条3項)
なし ①議決権を行使できる株主の半数以上(頭数要件)かつ
②当該株主の議決権の3分の2以上の賛成

なお、普通決議の定足数、特別決議の定足数・表決数、特殊決議の表決数は、定款により定められた範囲で変更することができます。
 

株主総会で得られる主な情報

株主総会では、定量的な情報と定性的な情報の両面から、企業の状況を理解できます。

定量的な情報として、財務諸表や業績予想の背景にある詳細な説明、売上高が予想を上回った/下回った要因、来期の業績見通しとその根拠などがあります。企業の立ち位置や今後の方向性、戦略について詳しく説明されるため、その企業の成長性や競争力を判断するうえで重要な情報となります。

定性的な情報としては、経営陣のリーダーシップや資質、会社の雰囲気や体質、投資家に対する姿勢といった、数字には表れない情報が挙げられるでしょう。経営者自らが、自身の言葉でプレゼンテーションを行っているか、株主からの質問に堂々と回答できているか、その場にいる社員や役員の関係性はどのように見えるかなども、長期的な企業の成長性や安定性を評価するうえで重要な要素です。

また、株主総会では、他の株主の関心事を知ることもできます。特に、機関投資家やアクティビスト※からの質問で、自身が知らなかったことに気づくこともあるでしょう。

※企業の経営方針や事業展開に積極的に働きかける投資家や個人を指し、「物言う株主」とも呼ばれます。

みずほ証券からの
ひとこと

株主総会は、単に議決権を行使する場ではなく、投資判断に役立つ多くの情報を得られる貴重な機会です。直接経営陣と対話し、企業の実態を肌で感じられるため、より深い企業理解に基づいた投資判断ができるようになるでしょう。企業の姿勢や方針の変化を観察するためにも、積極的に参加することをおすすめします。


金融商品取引法に係る重要事項

合わせて読む


あなたに寄り添い、一緒に前へ

投資の世界をもっと知りたい、深掘りしたい。
進み続ける、あなたとともに。