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投資信託選びに役立つ「シャープレシオ」とは?計算方法や評価の目安などを解説
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投資信託選びに役立つ「シャープレシオ」とは?計算方法や評価の目安などを解説

SUMMARY

投資の成功には、リターン(収益)だけでなく、リスク(値動きの大きさ)も考慮した総合的な判断が欠かせません。この両者のバランスを客観的に評価するための指標が「シャープレシオ」です。本記事では、このシャープレシオについて解説します。

シャープレシオとは

シャープレシオとは

シャープレシオは、「その商品がどれだけ効率よく運用できているか」を測る指標です。主に投資信託の評価や比較をする際に用いられ、世界中で活用されています。

なぜシャープレシオが重要なのか

投資信託を選ぶ際は、単に基準価額が上昇しているだけでなく、「どれくらいのリスクを取った結果、どれくらいのリターン(利益)を得たのか」を知ることが大切です。例えば、同じ期間に基準価額が10%上昇した投資信託が二つあるとします。同じ成果をあげていたとしても、大きなリスクを取って10%の利益が出た商品と、リスクを抑えながらも10%の利益が出た商品では、取っているリスクに対して効率的にリターンをあげているという観点で、後者の方が優れていると評価できます。シャープレシオは、このような比較ができる指標です。

シャープレシオの計算方法と一般的な基準値

シャープレシオの計算方法

シャープレシオは、次の計算式で求めます。

シャープレシオ = 投資信託の超過リターン ÷ リスク = (投資信託のリターン – 無リスク資産のリターン) ÷  標準偏差(リスク)



無リスク資産のリターン」(リスクを取らなくても得られるリターン)には、通常、国債などの金利が用いられます。また、「標準偏差」は、投資信託の価格変動の大きさを示す値です。

シャープレシオは、数値が大きいほど、より効率よく運用ができていると評価されます。
投資信託のパフォーマンス比較の例として、以下の条件で投資信託Aと投資信託Bを比較してみましょう。

● 無リスク資産の金利:1%
● 投資信託A:リターン8%、リスク12%
● 投資信託B:リターン6%、リスク4%


一見、リターンが高い投資信託Aの方が魅力的に思えるかもしれませんが、シャープレシオを計算してみると

投資信託A:(8%-1%)÷12%≒0.58
投資信託B:(6%-1%)÷4%=1.25


となり、「リスクに対して、どれだけ効率的にリターンをあげているか」という観点で見ると、投資信託Bの方が優れていることになります。

シャープレシオは、投資のリスクに対するリターンの効率性を評価する指標であり、以下のような基準で評価されます。
シャープレシオの値 評価 説明
2.0以上 非常に優れた運用成績 高リターンを低リスクで達成しており、極めて効率的な運用。投資家にとって理想的。
1.0から2.0 良好な運用成績 十分なリターンを得つつ、リスクが許容範囲に収まっている健全な運用。
0.5から1.0 平均的な運用成績 リスクに対するリターンが標準的であり、一般的な運用成績とされる。
0.5未満 改善の余地がある運用成績 リスクに見合ったリターンが得られておらず、運用改善が求められる水準。
なお、これらの数値は目安であり、市場環境によって評価は変動します。

シャープレシオの留意点

市場環境によって評価は異なる

市場の状況によって、シャープレシオの評価は変わります。例えば、株式市場全体が好調な時期には、多くの投資信託でシャープレシオが高くなります。逆に、市場が不安定な時期には、全体的に低くなります。その結果、市場の状況によって、シャープレシオが高くても評価されなかったり、反対にシャープレシオが低くても良好な運用と評価されたりする場合もあります。

また、発展途上国の市場(新興国市場)は、先進国の市場と比べて値動きが大きい傾向があり、そのためシャープレシオは低くなりやすいという特徴があります。

このため、市場環境を考慮して活用することが大切です。

将来の運用成績の予測、正確な評価ができないこともある

シャープレシオは優れた投資指標ですが、過去のデータを基に計算するため、将来の運用成績を完全に予測することはできません。また、損益が一定の範囲内で収まる可能性が高いことを前提としているため、極端な価格になったり偏った価格が続いたりすると、正確に評価できないことがあります。
また、運用結果がマイナスの場合、シャープレシオの計算式の仕組み上、リスクが大きいほどシャープレシオが高くなることにも注意が必要です。

みずほ証券からの
ひとこと

シャープレシオは、投資のリスクとリターンを総合的に評価する指標として、投資信託の選択やポートフォリオのパフォーマンス評価に活用されています。市場環境や投資対象によって評価基準は異なるため、それぞれの状況に応じた適切な解釈を行うようにしましょう。


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