まずは、投資信託の取引で重要な「口数」の意味や、基準価額との関係を理解しましょう。この口数という単位を理解することが、投資信託の取引の基本です。
投資信託の口数と単位の意味
口数がどのような意味を持つのか、実際の取引ではどのように使われるのかを紹介します。
投資信託の「口数」とは、投資信託の数量を表す基本単位です。株式の「株数」のようなもので、1万口、10万口、100万口と表現されます。投資信託では、この口数をもとに投資信託を購入、売却します。国内投資信託は、1万口を基準として価格が表示されることが一般的です。これが「基準価額」と呼ばれるもので、投資信託の価値を示します。例えば基準価額12,000円という表示は、1万口当たりの価格が12,000円であることを意味します。
なぜ1万口という単位が使われるのか
多くの投資信託は、運用開始時の価格を1口1円に設定します。また、申込単位を1万口(1口=1円)と設定している投資信託が多いため、基準価額は1万口当たりに換算して提示されます。そのため、運用開始時の基準価額は10,000円となります。この統一されたスタート地点があることで、その後の運用成績が把握しやすくなります。現在の基準価額が15,000円なら運用開始時から50%上昇、8,000円なら20%下落したことが分かります。
保有口数の確認方法
自分が保有している口数は、投資信託を預けている証券会社のウェブサイトのマイページなどで確認できます。口数を把握することで、現在の資産価値や、受け取れる分配金額などを正確に計算できます。
毎月の積立投資を行っている場合は、購入のたびに口数が増えていくのが確認できます。多くの証券会社では、マイページで保有口数、基準価額、評価額が一覧で表示されるため、資産管理が容易になっています。
購入・売却時の「口数指定」と「金額指定」
投資信託の購入方法は、「金額指定」と「口数指定」の二つの方法から選べます。金額指定は「10万円分購入したい」というように金額を指定する方法です。
一方、口数指定は「50万口購入したい」というように、口数を指定する方法です。保有口数をきりの良い数字に調整したい場合などに利用されます。また、確定申告で損益通算を行う際に、特定の口数だけを売却して損失を確定させるといった使い方もできます。
売却時も同様に選択でき、例えば老後の生活費として毎月10万円ずつ取り崩したいような場合は金額指定が便利です。自分の投資目的に応じて、適切な方法を選択するようにしましょう。
基準価額との関係と取得口数の計算式
投資金額と基準価額をもとに、どのように取得口数が決まるかを計算例で具体的に示します。
取得口数の計算式は次のとおりです。
取得口数 = 投資金額 ÷ 購入時の基準価額 × 10,000
なぜ10,000をかける必要があるのか、最初は戸惑うかもしれません。これは基準価額が「1万口当たり」の価格として表示されているためです。
具体的な計算例
実際の計算例を見てみましょう。
投資金額
100,000円
購入時の基準価額
11,000円
取得口数
100,000円÷11,000円×10,000口=約90,909口
同じ投資金額でも、購入時の基準価額が高いときは取得できる口数が少なくなり、低いときは口数が多くなります。これは投資信託の重要な特徴で、購入のタイミングによって取得できる口数が変わることを意味しています。これは、積立投資におけるドルコスト平均法の効果にもつながります。
ドルコスト平均法は、以下の記事の「積立投資の魅力」をご覧ください。
実際に投資する際は、手数料を考慮する必要がある
購入時手数料がかかる場合は、手元資金から購入時手数料分を除いた金額で投資することになるため、実際に投資できる金額が変わります。最近では購入時手数料が無料(ノーロード)の投資信託も増えており、この場合は手元資金全額を購入に充てられるため、より効率的な投資ができます。
保有中の投資信託がどのくらいの価値になっているのか、その評価額や損益の考え方を整理します。日々変動する基準価額に応じて、自分の資産がどのように変化しているかを把握できるようにしておきましょう。
評価額の計算方法
投資信託の評価額は次の計算式でチェックします。
評価額 = 保有口数 × 基準価額 ÷ 10,000
例えば、現在の基準価額が13,000円の投資信託を50,000口保有している場合の評価額は以下のとおりです。
評価額:50,000口×13,000円÷10,000=65,000円
この計算式さえ覚えておけば、いつでも自分の投資が今どれくらいの価値になっているかを計算できます。
評価額の日々の変動
基準価額は毎営業日更新されるため、評価額も日々変動します。基準価額が1%上昇すれば評価額も1%増加し、逆に基準価額が1%下落すれば評価額も1%減少します。
市場が大きく動いた日には、評価額が数%以上変動することもあります。
なお、自身が保有している各投資信託の評価額は、通常投資信託を預けている証券会社や銀行等のマイページで確認できます。定期的に、現在の投資成果がどのようになっているか、確認するとよいでしょう。
ここからは、投資信託の分配金によって、保有口数がどのように影響するのかを事例とともに見ます。分配金を受け取るか再投資するかで、長期的な資産形成に大きな違いが生まれることを理解しておきましょう。
分配金を受け取る場合の口数の変化
分配金ありの投資信託で、分配金を受け取ることを選択した場合、その分配金は現金として証券口座に入金され、保有口数は一切変化しません。
分配金を再投資する場合の口数の変化
分配金ありの投資信託で、分配金の再投資を選択した場合は、支払われた分配金で自動的に同じ投資信託を追加購入するため、保有口数が増加します。
追加口数 = 分配金額(税引き後) ÷ 分配金支払日の基準価額 × 10,000
例えば、投資信託を150,000口保有していて、1万口当たり100円の分配金が出た時に、分配金支払日の基準価額が11,950円だった場合を考えてみましょう。
分配金額
150,000口×100円÷10,000=1,500円
税金※
1,500円×20.315%=305円
分配金額(税引き後)
1,500円-305円=1,195円
追加口数
1,195円÷1,1950円×10,000=1,000口
したがって、自身の保有口数は150,000口から151,000口に増加します。
Q. 投資信託の口数ってそもそも何ですか?
A. 投資信託を保有するための単位です。株式の「株数」のようなもので、投資家の持ち分を表します。1万口、10万口と表現され、この口数に応じて評価額や分配金が計算されます。投資信託では、この口数を使って各投資家の持ち分を管理しているのです。
Q. どうして基準価額に10,000をかけるの?
A. 基準価額が「1万口当たり」で表示されているため、実際の取得口数に直す必要があります。例えば、基準価額11,000円で100,000円分投資する場合、100,000円÷11,000円=約9.09となりますが、これは1口単位の数です。1万口単位の口数にするために10,000をかけて、約90,909口となります。この計算は最初は複雑に感じるかもしれませんが、慣れれば簡単にできるようになります。
金融商品取引法に係る重要事項
投資信託にかかるリスクと費用の詳細は以下よりご確認ください。
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