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ストップ高・ストップ安とは?株式市場の制限値幅について解説
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ストップ高・ストップ安とは?株式市場の制限値幅について解説

SUMMARY

ストップ高・ストップ安は、1日の株価の上昇や下落の変動幅を一定範囲内に制限する仕組みです。この記事では、ストップ高・ストップ安の概要や、ストップ高・ストップ安になりやすい状況などを解説します。

ストップ高・ストップ安とは

ストップ高・ストップ安は、1日の株価の上昇や下落の変動幅を一定範囲内に制限する仕組みです。

日本の株式市場では、一時的な需給の偏りなどによって株価が大きく変動した場合に、過度な値動きを抑制し、投資家の誤った投資判断や不測の損害を防ぐことを目的として、株価が1日に変動できる幅(値幅)を、基準値段※1 の上下約15%〜30%に制限しています。これを「制限値幅」と呼び、定められた制限値幅を超えて取引することはできません。制限値幅の上限まで株価が上がることを「ストップ高」、下限まで株価が下がることを「ストップ安」といいます。なお、米国の株式市場には、この制度はありません(代わりに、サーキットブレーカー制度※2 等を導入)。

※1 前日の終値または最終気配値段のこと
※2 株式市場や先物取引で価格が一定以上変動した場合に相場を安定させるために取引を一時停止させるなどの措置を行う制度。米国株式市場では3段階のレベル(下落率)を設定し、S&P500株価指数が急落した際、段階的に発動される。

ストップ高・ストップ安の制限値幅

制限値幅は、通常、前日の基準値段から上下約15%〜30%で設定されます。

<制限値幅表>
基準値段 制限値幅
100円未満 上下 30円
200円未満 50円
500円未満 80円
700 円未満 100円
1,000円未満 150円
1,500円未満 300円
2,000円未満 400円
3,000円未満 500円
5,000円未満 700円
7,000円未満


1,000円


2024年12月時点
※基準値段7,000円以上の制限値幅は、日本取引所グループのウェブサイトをご確認ください。

例えば、基準値段が1,400円の場合、1,700円(+300円)でストップ高、1,100円(-300円)でストップ安となります。

ただし、制限値幅は一時的に拡大されることもあります。例えば、2営業日連続でストップ高またはストップ安となり、ストップ配分※1 も行われず売買高(出来高)が0株だった場合、翌営業日の制限値幅は4倍に拡大されます。※2 その際、ストップ高が続いた銘柄は、制限値幅の上限のみ4倍に拡大され、ストップ安が続いた銘柄は、下限のみ4倍に拡大されます。

※1 ストップ高・ストップ安となり、当日の取引終了時間を迎えた場合に、通常の板寄せとは異なる方法で売買を成立させること。なお、板寄せとは、証券取引所における売買成立方法の一つで、価格優先原則に従って成行注文を優先したあと、低い売り注文と高い買い注文を突き合わせて、売りと買いの数量が合致したとき、その値段を約定値段として売買を成立させる方法のこと。
※2 ETF、ETN及びレバレッジ商品については、ストップ高またはストップ安の値段で立会を終了した場合、翌営業日から制限値幅を拡大することとされている。

ストップ高・ストップ安になりやすい状況

株式市場において、ストップ高やストップ安はしばしば発生するものですが、特定の状況下でより発生しやすくなります。以下に、ストップ高・ストップ安になりやすい代表的な例を紹介します。

ストップ高になりやすい状況

1. 好決算の発表
企業が好決算(市場コンセンサスを上回る業績予想の上方修正、黒字転換など)を発表した場合、投資家にとってポジティブサプライズとなり、株価が急激に上昇してストップ高になることがあります。

2. TOB(株式公開買付)の発表
買付価格(TOB価格)が現在の株価より高く設定されるTOBが発表された場合、株価が急上昇して(株価がTOB価格にサヤ寄せして)ストップ高になることがあります。
3. 株主還元拡充の発表
増配や自社株買いなど、株主還元策の拡充が発表されると、投資家の関心が高まり、株価が急上昇してストップ高になることがあります。

4. 業務提携や大型取引の発表
他社との業務提携や大型取引の発表は、企業の成長性や将来性に対する期待を高め、株価が急上昇してストップ高になることがあります。

ストップ安になりやすい状況

1. 発表された決算が良くなかった
企業が発表した決算が良くなかった場合(市場コンセンサスを下回る業績予想の下方修正、赤字転落など)、投資家にとってネガティブサプライズとなり、株価が急激に下落してストップ安になることがあります。

2. 不祥事の発覚
企業の不正会計や法令違反などの不祥事が発覚した場合、企業に対する信頼性の低下から株価が急落し、ストップ安になることがあります。

3. 製品・サービスに関するネガティブなニュース
企業の主力製品やサービスに関する重大な欠陥や問題が報道された場合、将来の業績への不安から株価が急落し、ストップ安になることがあります。

4. 市場全体の急激な下落
金融危機や地政学的リスクの高まりなど、市場全体が急激に下落する局面では、多くの銘柄がストップ安になることがあります。

上記のほか、時価総額の小さい小型株や新興市場銘柄、流動性の低い(普段の出来高が少ない)銘柄などは、大型株や流動性の高い銘柄と比べてストップ高・ストップ安になりやすい傾向があります。

ただし、ストップ高・ストップ安は一時的な現象であり、その後の株価動向は様々な要因によって変化します。投資判断を行う際は、企業の本質的な価値や長期的な成長性を考慮し、過度な期待や恐怖に惑わされないようにしましょう。

みずほ証券からの
ひとこと

株価が急激に上昇した場合、過度な楽観視によって冷静な判断が難しくなったり、利益を得る機会を逃したりすることへのおそれから慎重な分析なしに購入を急ぐ(FOMO/Fear of Missing Out)投資家もいます。また、株価が急落したときは、過度な悲観視や更なる値下がりへの恐怖から、企業の本質的価値を無視して売却を検討する投資家が増えたり、損失を最小限に抑えようとする心理から、冷静な分析なしに売却を急いだりする(パニック売り)投資家もいます。

株式投資では、一時的な株価の動きに左右されず、冷静に分析を行い感情的な判断を避けること、長期的な視点を持つことが大切です。


金融商品取引法に係る重要事項

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