SUMMARY
2024年1月から始まった新しいNISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能です。NISAをうまく活用するには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の使い分けが一つのポイントです。
この記事では、NISAの2つの投資枠のうち「つみたて投資枠」にスポットを当て、ポイントと活用例を紹介します。
ポイント①複利運用
「つみたて投資枠」は、長期・積立・分散投資に適した投資信託の積立投資が利用できる非課税枠です。投信積立の魅力である複利運用の効果が期待できることが挙げられます。
複利運用は、運用から得た利益や利子を投資元本に組み入れて再投資することで、投資元本のみで運用するよりも効率的な運用が期待できます。
(図1) 複利運用の効果 図1は、投資元本100万円、1年間で得られる収益を3万円として、単利と複利で10年後にどれだけ差がつくかを示しています。このケースでは、単利運用の元本と収益の合計が130万円、複利運用の元本と収益の合計が約134万円、その差額は4万円程度です。
では、月々1万円の少額投資であっても複利運用のメリットを享受することができるのかどうかをシミュレーションしていきます。
(図2) 月々1万円を投信積立した場合のシミュレーション
月々1万円の投信積立を長期に継続し、結果的に年率3%で運用できた場合、30年後の運用収益(利益)は224.2万円です。
月々1万円の投資ですが、運用期間が長くなるほど複利効果で利益は大きくなり、360万円の元本が1.6倍になる計算です。
実際の投資では一定の収益率が続くことはなく、損失が生じる可能性もあります。しかし、複利運用を利用した投信積立が、資産形成に有効であることはイメージできると思います。
複利運用は、運用から得た利益や利子を投資元本に組み入れて再投資することで、投資元本のみで運用するよりも効率的な運用が期待できます。
(図1) 複利運用の効果 図1は、投資元本100万円、1年間で得られる収益を3万円として、単利と複利で10年後にどれだけ差がつくかを示しています。このケースでは、単利運用の元本と収益の合計が130万円、複利運用の元本と収益の合計が約134万円、その差額は4万円程度です。
では、月々1万円の少額投資であっても複利運用のメリットを享受することができるのかどうかをシミュレーションしていきます。
(図2) 月々1万円を投信積立した場合のシミュレーション
- 収益率は上下にばらつきますので、一定の収益率が長期にわたり継続することは実際には起こりません。
- 投資の結果は必ずしもプラスになるとは限らず、損失が生じる可能性もあります。
月々1万円の投信積立を長期に継続し、結果的に年率3%で運用できた場合、30年後の運用収益(利益)は224.2万円です。
月々1万円の投資ですが、運用期間が長くなるほど複利効果で利益は大きくなり、360万円の元本が1.6倍になる計算です。
実際の投資では一定の収益率が続くことはなく、損失が生じる可能性もあります。しかし、複利運用を利用した投信積立が、資産形成に有効であることはイメージできると思います。
ポイント②ドル・コスト平均法による時間分散
投信積立は、決まった日に決まった金額を定期的に買い付ける手法です。このような買付手法を「ドル・コスト平均法」と呼びます。
分散投資と言うと、投資対象を分散させることをイメージする方も多いと思います。ドル・コスト平均法は「時間を分散」させます。
投信積立におけるドル・コスト平均法は、基準価額の高いときは買付口数が少なく、基準価額が低いときは買付口数が多くなるため、平均買付単価を平準化することができます。相場の状況や、売却のタイミングで損失を被ることもあり、必ずしも利益になるとは限りません。他方、平均買付単価を低く抑える効果が期待できるため、一度にすべての金額を投資して高値づかみしてしまう心配はなくなります。
(イメージ図、表) ドル・コスト平均法
上記のように、買付金額1万円、買付期間1年間(1月から12月)という条件で投信積立を行った場合、12月時点の総購入金額は12万円、購入口数は129,175口、平均購入単価は9,290円です。
例えば、1月に12万円分を一括購入した場合、総購入口数は120,000口、平均購入単価は10,000円ですので、ドル・コスト平均法により平均購入単価を低く抑えることができたといえます(注:ドル・コスト平均法が必ずしも一括購入より有利になるとは限りません)。
分散投資と言うと、投資対象を分散させることをイメージする方も多いと思います。ドル・コスト平均法は「時間を分散」させます。
投信積立におけるドル・コスト平均法は、基準価額の高いときは買付口数が少なく、基準価額が低いときは買付口数が多くなるため、平均買付単価を平準化することができます。相場の状況や、売却のタイミングで損失を被ることもあり、必ずしも利益になるとは限りません。他方、平均買付単価を低く抑える効果が期待できるため、一度にすべての金額を投資して高値づかみしてしまう心配はなくなります。
(イメージ図、表) ドル・コスト平均法
購入月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|---|
購入口数 | 10,000口 | 10,701口 | 10,197口 | 11,124口 | 10,644口 | 11,131口 |
購入単価 | 10,000円 | 9,345円 | 9,807円 | 8,990円 | 9,395円 | 8,984円 |
購入月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|
購入口数 | 10,951口 | 9,901口 | 11,092口 | 11,399口 | 11,004口 | 11,031口 |
購入単価 | 9,132円 | 10,101円 | 9,016円 | 8,773円 | 9,088円 | 9,066円 |
総購入金額 | 120,000円 |
---|---|
総購入口数 | 129,175口 |
平均購入単価 | 9,290円 |
- 基準価額(購入単価)は、1万口当たりで表示
- 丸印の日に購入、購入金額は常に10,000円、購入口数は小数点以下を切り上げ
- 平均購入単価は「総購入金額÷総購入口数×10,000口」で計算
- 購入手数料等諸経費は考慮しない
上記のように、買付金額1万円、買付期間1年間(1月から12月)という条件で投信積立を行った場合、12月時点の総購入金額は12万円、購入口数は129,175口、平均購入単価は9,290円です。
例えば、1月に12万円分を一括購入した場合、総購入口数は120,000口、平均購入単価は10,000円ですので、ドル・コスト平均法により平均購入単価を低く抑えることができたといえます(注:ドル・コスト平均法が必ずしも一括購入より有利になるとは限りません)。
ポイント③非課税メリット
NISA口座を利用した投信積立では運用で得た利益が非課税です(課税口座の場合は原則、利益の20.315%の税率で課税されます)。
(図3) NISAのメリット 例:利益が100万円の場合
NISAでは課税口座との損益通算ができないことから、損失が発生した際にはデメリットとなる場合がありますが、長期的に利益が出る可能性を考えれば、非課税枠は積極的に活用した方が良いでしょう。
(図3) NISAのメリット 例:利益が100万円の場合
NISAでは課税口座との損益通算ができないことから、損失が発生した際にはデメリットとなる場合がありますが、長期的に利益が出る可能性を考えれば、非課税枠は積極的に活用した方が良いでしょう。
つみたて投資枠の活用例
ここからはシミュレーションを交えて活用例を紹介します。
ケース1 老後資金への備え
長期運用による複利効果と非課税メリットから、つみたて投資枠を利用した投信積立は老後資金の形成に適していると考えられます。最終的な目標は人それぞれですが、2019年に話題となった老後2,000万円問題と照らし合わせると、一般的なリタイア年齢である65歳までに、2,000万円を積み立てることが一つの目安ではないでしょうか。
大学を卒業して新社会人になる年(一般的には23歳)から始め、途中で取り崩さないことを前提にした場合、月々4万円の積立をすれば65歳前後(積立期間41年8ヵ月)で投資金額合計が2,000万円に達します。
このケースにおいて、結果的に年率1%、2%、3%でそれぞれ運用できた場合の運用成果が表1です。
(表1) シミュレーション「23歳から65歳まで月々4万円の投信積立」 (単位:円)
投資金額 | 運用成果 | 運用収益(利益) | |
---|---|---|---|
年率1%で運用できた場合 | 20,160,000 | 25,062,246 | 4,902,246 |
年率2%で運用できた場合 | 20,160,000 | 31,606,539 | 11,446,539 |
年率3%で運用できた場合 | 20,160,000 | 40,418,916 | 20,258,916 |
- 一定の収益率(1%、2%、3%)は計算上の仮定であり、長期間で同じ収益率が続くことはありません。
- 投資の結果は必ずしもプラスになるとは限らず、損失が生じる可能性もあります。
年率1%で運用できたとする場合の運用成果は、投資元本と合わせて計算上25,062,246円であり、年率3%で運用できた場合では、同40,418,916円です。
年齢が若いうちから始めるほど運用期間が長くなり、複利効果を享受しやすくなりますが、40代から始めても遅すぎるということはありません。
40歳から始めた場合、月々70,000円の積立で65歳時の投資金額が21,000,000円、結果的に年率1%で運用できた場合の運用成果は23,866,779円です。
ケース2 ライフイベントに合わせた教育費と老後資金の形成
新NISAでは、NISA口座で保有する商品を売却した場合、買付時の投資金額分の投資枠が翌年から再利用できるため、非課税枠を無駄にすることなく取り崩し(売却)ができます。
頻繁な取り崩し(売却)は複利効果を小さくするためおすすめできませんが、ライフイベントなどに合わせて必要な金額を計画的に取り崩すことは、NISAやお金の有効活用と言えるでしょう。
では、ライフイベントの要素である教育費と老後資金形成を目的とした活用例を紹介します。
(図4) 活用例「つみたて投資枠を利用した教育費と老後資金の形成」
まずは教育費です。子どもの誕生と同時につみたて投資枠で月々2万円を積み立て、一般的に学費負担が大きいとされる大学入学の年(子ども18歳、夫婦49歳)まで継続するプランを組み、異なる年率でシミュレーションしたものが表2です。
(表2) シミュレーション「子どもの誕生から大学入学まで月々2万円の投信積立」(単位:円)
投資金額 | 運用成果 | 運用収益(利益) | |
---|---|---|---|
年率1%で運用できた場合 | 4,320,000 | 4,735,006 | 415,006 |
年率2%で運用できた場合 | 4,320,000 | 5,203,457 | 883,457 |
年率3%で運用できた場合 | 4,320,000 | 5,733,104 | 1,413,104 |
- 一定の収益率(1%、2%、3%)は計算上の仮定であり、長期間で同じ収益率が続くことはありません。
- 投資の結果は必ずしもプラスになるとは限らず、損失が生じる可能性もあります。
年率1%で運用できた場合、投資金額合計が4,320,000円、運用成果は投資元本と合わせて4,735,006円です。
私立大学の4年間の学費が平均で519万円の場合、学費の91.2%を賄える計算です。
【ご参考】入学費を含めた4年間の学費
国立大学・・・約252万円、私立大学・・・約519万円
出所:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を基にみずほ証券算出
次に老後資金です。子どもの大学入学時点で夫婦は49歳、65歳から年金を受給する場合は16年(192ヵ月)の時間があります。学費のめどがたち、積立金額を月々5万円に増額、65歳まで継続するプランで、異なる年率でシミュレーションしたものが表3です。
(表3) シミュレーション「子の大学入学から年金受給開始まで月々5万円の投信積立」 (単位:円)
投資金額 | 運用成果 | 運用収益(利益) | |
---|---|---|---|
年率1%で運用できた場合 | 9,600,000 | 10,414,633 | 814,633 |
年率2%で運用できた場合 | 9,600,000 | 11,321,668 | 1,721,668 |
年率3%で運用できた場合 | 9,600,000 | 12,332,889 | 2,732,889 |
- 一定の収益率(1%、2%、3%)は計算上の仮定であり、長期間で同じ収益率が続くことはありません。
- 投資の結果は必ずしもプラスになるとは限らず、損失が生じる可能性もあります。
年率1%で運用できた場合、投資金額が9,600,000円、運用成果は投資元本と合わせて計算上10,414,633円です。教育資金形成を目的に23歳から始めた場合と比較すると、老後の資金形成を目的にした場合では運用成果が落ちるものの、16年という期間を考えれば、投資環境にもよりますが複利効果に期待できるのではないでしょうか。
みずほ証券からの
ひとこと
この記事で紹介した例の他、マイホーム購入資金やリフォーム資金の形成などでも、NISAのつみたて投資枠を活用できます。
みずほ証券では、NISAの対象となる投資信託(ファンド)を多数取り扱っています。まだ、つみたて投資枠を利用していない方は、ぜひ検討してみてください。